消費量トップは中国の42.41億トン…世界各国の石炭埋蔵・採掘・輸出入量(最新)
2022/11/05 02:47
当サイトでは【アメリカ合衆国のエネルギー情報局(EIA:Energy Information Administration)】の【公開データベース】の値を基に、世界各国の主要エネルギーの生産・消費・輸出入動向をまとめている。今回はその各値を基に、石油や天然ガスとともに注目を集め、多方面で用いられている石炭に関して、国際的な実情を複数の面から確認する。
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主要国における石炭の埋蔵・採掘・消費量
石炭といえば、かつて日本国内では主要エネルギーの一つであり、国内でも大量に採掘されていた。1961年には年間5541万トンもの採掘が行なわれピークを記録したが、それ以降は石油に主要エネルギーの座を譲り渡したことや、外国産の石炭の方が割安との状況下で国内産の採掘量は激減。現在では年間消費量約1億7051万トン(2020年度)のほとんどが輸入品の状況にある。主な輸入元はオーストラリア・インドネシア・ロシア(【原油中東依存度92.0%…日本の石油・石炭・LNGの輸入元実情(最新)】や【オーストラリアから61.4%・インドネシアから15.1%を輸入…日本の石炭輸入・消費事情(エネルギー白書)(最新)】参照のこと)。
その石炭についてだが、地質学的な埋蔵量は3.4兆トンほどとされているものの、技術的・経済的に採掘が可能な埋蔵量は約1.05兆トン(2021年時点)にとどまっている。その埋蔵量の上位国を列挙したのが次のグラフ。
↑ 石炭埋蔵量トップ15(採掘可能量、億トン)(2021年)
トップはアメリカ合衆国、次いでロシア、オーストラリア、中国の順。なお今回記事の「石炭」とは、瀝青炭・無煙炭・亜瀝青炭・褐炭のすべてを含めた値である。石炭の採掘、輸出でよく名前が上るオーストラリアは第3位に名を連ねている。上位国のうちドイツの名前は意外に思う人もいるかもしれない。
次いで年間の採掘量上位国、そして採掘量の上位国におけるその国の消費量をかぶせたグラフを併記する。エネルギーの需要は効率性や環境などの観点から原子力や太陽電池、石油、ガスなどに主軸を移している国が多い。必ずしも石炭の消費量の大きさが、エネルギー関連の技術の先端性を意味するものではないことに注意する必要がある。
↑ 石炭採掘量トップ15(億トン)(2021年)
↑ 石炭採掘量トップ15とその国の消費量(億トン)(2021年)
埋蔵量の順位とは入れ違いがいくつか見られ、トップは順位こそ変わらないものの、他国を大きく抜きん出る形で中国、ついで大きく差をつけられる形でインドがついている。これは石炭の工業使用が技術的に容易であること、さらには安価で経済的に優れていることに起因する。ただし石炭は「適切」で比較的「高い技術力」による処理をしないと、二酸化炭素の排出量など環境面での負担も大きい。
また、消費量との重ね合わせグラフを見ると、大量の採掘量を示している中国やインドが、(少なくとも数字の上では)自国内消費分でほぼ消費してしまっているのが分かる。特に中国は(言葉通り)桁違いで採掘と消費を行っていることが理解できよう。
上記グラフは「採掘量順の」消費量。そこで次に純粋な消費量のみでの上位陣をグラフ化しておく。
↑ 石炭消費量トップ15(億トン)(2021年)
中国の消費量の多さが改めて実感できる。第2位以降の14か国分全部を合わせても、中国の消費量の方がまだ多い(第2位から第15位までの計14か国の合計は29.732億トン)。また日本や台湾のように、石炭を輸入に頼る国の名前が入っている(採掘量上位のグラフでは出てこなかった)のも確認できる。
余れば輸出、足りなければ輸入…石炭輸出入量
石炭を消費するにあたり自国内で採掘できなければ、他国から調達しなければならない。逆に国内消費量以上の採掘ができる国では、無理に採掘しなくてもよいし、余った分を貯蔵したり輸出する事も可能となる(無論、自国内で採掘できる石炭の品質、種類により、全体量としては充足していても、不足している種類の石炭を輸入しなければならない場合もある)。そこで輸出・輸入量についてまとめたのが次のグラフ。
↑ 石炭輸出量トップ15(億トン)(2020年)
↑ 石炭輸入量トップ15(億トン)(2020年)
輸出量は日本における大量の輸入元であるインドネシアがトップ。次いで同じく日本がお世話になっているオーストラリア、そしてロシアの順。採掘量の上位の国でも、自国消費量の方が多い国はほとんど輸出まで回せないことが分かる。
一方輸入量では中国がトップ。次いでインド、日本と続く。中国もインドも単純な石炭の採掘・消費量ではさほど違いはないが、それでもなお世界でトップと2番目の輸入量を誇ることになる。
石炭は製鉄の原料として使われるだけでなく、発電用エネルギー源としてもいまだに重要な役割を担っている。2007年の乱高下相場をきっかけにした資源の価格上昇以降、採掘技術や環境対策の進歩を受けて石炭が見直されつつある話はすでにお伝えした通り。昨今においても同様の状況が見られる。また日本に限れば、LNG同様に火力発電所の燃料としても注目を集めている。
今後も石炭の動向に注目したいところだ。
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