閉塞感の増加…日本の生活周りの心境変化
2011/12/18 19:30


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今調査結果は2010年11月-12月にかけて、日本全国18-79歳の男女を層化多段無作為抽出(18、19歳は割当法)で抽出した上で、訪問留置法によって行われたもの。有効回答数は2443人。
以前の記事にもある通り、今調査では基本的に設問項目に対して「1-10の程度」「分からない」のいずれかで回答してもらっている。例えば「牛丼とカレーライス、どちらが好きか」という設問に「カレー10・牛丼1」とした場合、「10」なら「カレーの方が大好き」となり、「3」なら「やや牛丼の方が好き」となる。対象が一つで「イエス・ノー方式」の場合は「イエス派が1-5」「ノー派が6-10」となる(イエスとノーが入れ替わる場合もある)。今回発表された速報では、その多くが「片方」か「もう片方か」の二区分で大別化され掲載されている(具体的数字の公開は無し)。
まずは「家計満足度」だが、「不満:1」「満足:10」とし、不満派・満足派に区分した上で調査年毎の推移を見たのが次のグラフ。

↑ 家計満足度
2005年までは数ポイントの上下を繰り返しながらも3割前後に収まっていた「不満派」だが、2010年の調査結果では4割近くまで跳ね上がっている。今回は掲載を略するが「生活満足度」も前回調査からは後退する動きがあり、2010年時点では過去と比べ、心境的に家計満足度が大きく落ち込んでいる(=金銭的に難儀している)ようすがうかがえる。家計の満足度が落ちれば、自然に消費性向は減退し、節約に走るようになるため、市場全体へのお金の循環という観点では、あまりよい動きでは無い。
続いて「生活程度意識」。

↑ 生活程度意識
生活程度といえば「中庸」「中流意識」という言葉が思い返されるが、破線の赤矢印で記したように、「下」「中の下」双方を足した、どちらかといえば下層的な立ち位置を自認する人が増えているのが分かる。「下」「中の下」それぞれが増え、「中の中」を浸食しているのも見て取れよう。
家計の上で首が回らず、生活意識もあまり良いポジションという認識が無い。ならば自分の意志や努力で現状をもっと良い方向にかじ取りして……というポジティブな考えをする人もいる。ところが「どれほど頑張っても人生のポイントはさほど変更できない」言い換えれば「人生を自由に動かせる程度は低い、自由にならない」と考えている人が増えているのが分かる。

↑ 人生を自由に動かせる程度
これらの動きからは、短期的、中長期的双方の視点で、日常生活上の閉塞感が拡大しているようすが想像できる。あくまでも大雑把な区切りなため、詳細、そして他国との違いの確認は数年先に発売される「世界主要国価値観データブック2010年版」の登場を待たねばならないが、気になる動きとはいえよう。
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