進む男性の「同い年」好み傾向…独身者の希望する相手との年齢差(最新)
2016/10/17 05:07
異性の好き嫌いを示す表現の一つとして知られているのが「年上好み」「年下好み」のような、自分と比較した相手異性との年齢の差に関する性向。過去の経験や自分の性格から生じる認識、単純な世の中のトレンドからの影響など、理由は多種多様で複数の要因の結果である場合も多いが、独身者が好む異性の選別要素に、自分との年齢関係があることに違いは無い。今回は国立社会保障・人口問題研究所が2016年9月15日に発表した、日本国の結婚や夫婦の出生力の動向などを長期的に調査・計量する「出生動向基本調査」の最新版「第15回出生動向基本調査」を基に、独身者における「結婚相手の年齢差に関する希望」の実情を確認していくことにする(発表リリース:【第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)】)。
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今調査に関する調査対象母集団や集計様式に関しては、出生動向基本調査に関わる先行記事の【日本の「恋愛結婚」「見合い結婚」の推移】を参照のこと。
年齢によって多少の差異はあるものの、最新の調査結果によれば8割から9割の独身者が(タイミング・意思の強さの度合いはともあれ)結婚をしたいと考えている。
↑ 未婚男性の結婚意思(結婚意欲詳細版、2015年)(再録)
↑ 未婚女性の結婚意思(結婚意欲詳細版、2015年)(再録)
そこで問題となるのは、独身者自身と結婚相手となる異性との年齢差。一般的に男性は自分より年下の女性、女性は自分より年上の男性を好む傾向が強く、実際に平均初婚年齢を見ても男性の方が女性より上との結果が出ている。
↑ 平均初婚年齢(歳)(再録)(【日本の婚姻率・離婚率・初婚年齢の推移】より)
それでは独身者としてはどのくらいの年齢差を相手に望んでいるのだろうか。調査別に男女それぞれにおいて、結婚相手との希望年齢差を聞いた結果が次のグラフ。男女で回答選択肢が異なることに注意。
↑ 調査・年齢別に見た、結婚相手との希望年齢差の構成(独身者で「いずれ結婚するつもり」と回答した人対象)(男性)
↑ 調査・年齢別に見た、結婚相手との希望年齢差の構成(独身者で「いずれ結婚するつもり」と回答した人対象)(女性)
一見して分かるのは、薄い黄緑の部分、つまり「同い年」を望む人が近年増加傾向にあること。約30年で男性は5倍近く、女性も3倍強に増加している。また、女性よりも男性において、同い年の相手を希望する人の増加率が高い。
直近では女性は前回調査比で「同い年」の回答率は減ってしまったが、男性はさらに増加し、ついに4割を超えてしまった。また女性は見方を変えると2005年から2010年で「同い年」を好む傾向が天井となり、再び年上の男性を好む人の増加が確認できる。
男性における「同い年」を好む人が増えている傾向は、【ますます伸びる交際期間と縮む夫婦間年齢差…日本の夫婦事情の推移】や【日本の「恋愛結婚」「見合い結婚」の推移】でも触れているように、婚姻事例における恋愛結婚の比率が増加し、平均交際期間が伸びているのと深い関係がある。「同い年の方が話も合いやすいし仲も良くなりやすい」「単なる友達付き合いから恋愛感情へ」「そして結婚」とのプロセスを踏むと考えれば、今件の「同い年を好む」、そして「夫婦間の年齢差が縮まる」「婚姻前の交際期間が伸びる」もすべて説明がつく。他方、まだわずかではあるが、女性が再び年上の男性を好む傾向が出てきているのは、経済的にも精神的にも、より安定性の高い人を求めるからだろうか。独身女性の「結婚の利点」の選択で「経済的に余裕が持てる」が大きく増加しているのと合わせ考えると、納得もできる。
今項目で各年の男女別の希望年齢における平均値を算出し、折れ線グラフにすると、両者の値が少しずつ近づきつつあるのが分かる(直近2015年分は該当値が未公開のため、回答数から各選択肢の中央値を基に加重平均で算出している)。
↑ 調査・年齢別に見た、結婚相手との希望年齢差の構成(「いずれ結婚するつもり」と回答した人対象)(平均値)
女性の「同い年」を望む割合の増加への動きが止まり、年上を望む人が増えてきたタイミングで、平均値の減退もストップし、横ばいからやや増加へ。他方男性は「同い年」の回答率が上昇傾向にあるため、引き続き相手との年齢差は縮まりつつある。ゆるやかな動きだが、未婚男性が「友達関係のような夫婦」をより強く求める一方で、未婚女性は頼りになる年上を求める傾向があるようだ。
余談になるが、男性で「自分より年上の女性」、女性で「自分より年下の男性」を望む人は1割足らず。男性は漸次増加しているが、女性は2005年以降減少に転じている。
趣味趣向が多様化したのか。それともいずれの場合でも結婚すれば女性が年上の環境になるので、母性本能が強く働く(求める)動きが「男性に」あるのだろうか。興味は尽きないところだが、今調査結果だけではそれ以上の追及は不可能。ただし「独身男性に、年上の女性を求める動きが見られる」ことは覚えておいて損はない、かもしれない。
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