「お金が無い」「異性とうまく付き合えない」増加傾向…独身者が独身でとどまっている理由とは?(詳細版)(最新)

2025/03/01 02:35

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2025-0214先行記事【「まだ若い」じきに「相手が見つからない」…独身者が独身でとどまっている理由とは?】で、国立社会保障・人口問題研究所が2023年8月に発表した、日本国の結婚や夫婦の出生力の動向などを長期的に調査・計量する「出生動向基本調査」の最新版「第16回出生動向基本調査」を基に、独身の人が結婚せずに独身でとどまっている理由について焦点を当てた。今回はその項目に関し、同調査の過去分で取得可能な値を逐次抽出し、年月の経過とともに生じた独身者の心理・心境の変化をかいま見ることにする(【第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)】)。

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今調査に関する調査対象母集団や集計様式については、出生動向基本調査関連の先行記事【日本の「恋愛結婚」「見合い結婚」の推移】を参照のこと。

先行記事で解説の通り、回答対象となる独身者が独身でとどっている理由として、24歳までが「若すぎる」「仕事・学業に打ち込みたい」、25歳以上になると「適当な相手に巡り合わない」がトップになる。

↑ 独身にとどまっている理由(男女18-24歳、3つまで選択可)(2021年)(再録)
↑ 独身にとどまっている理由(男女18-24歳、3つまで選択可)(2021年)(再録)

↑ 独身にとどまっている理由(男女25-34歳、3つまで選択可)(2021年)(再録)
↑ 独身にとどまっている理由(男女25-34歳、3つまで選択可)(2021年)(再録)

選択肢をよく読めば分かるように、点線で分割した左側5つは「結婚”しない”理由」(自分の意思が強い)、右側5つは「結婚”できない”理由」(本人の意思とはあまり関係がなく、外部的要因が強い)となっている。

それではこれらの調査期間別における結果とその推移はどのようなものだろうか。まずは18-24歳の分を確認する。

↑ 独身にとどまっている理由(男性18〜24歳、3つまで選択可)(2021年)
↑ 独身にとどまっている理由(男性18〜24歳、3つまで選択可)(2021年)

↑ 独身にとどまっている理由(女性18〜24歳、3つまで選択可)(2021年)
↑ 独身にとどまっている理由(女性18〜24歳、3つまで選択可)(2021年)

男性は「まだ若すぎる」が最上位項目だが、女性は直近年では「仕事・学業に打ち込みたい」が「まだ若すぎる」を追い抜きトップについている。同時に女性では「自由や気楽さを失いたくない」が急降下の形で減少しており(直近年ではやや戻したが)、女性の社会進出による心境変化が独身の維持に影響していることがうかがえる。

男性では「まだ若すぎる」が減少から増加傾向、他方「自由や気楽さを失いたくない」が減少。自由人的、モラトリアム的な心境による独身感が減少する一方で、認識している適齢期を少し上乗せしている感はある。

金銭面では「結婚資金が足りない」「住宅のめどが立たない」に増加の気配がある。ただし直近2回分ではやや頭打ちになった雰囲気も見られる。他方、絶対値はまだ低めだが、男女とも「異性とうまく付き合えない」が増加の動きがあり、対人関係の不器用さを認識し、それが独身で居続けざるを得ない理由であると理解している人が増加しているようだ。気になる動きには違いない。

一段階年齢階層が上の25-34歳となると、また違った動きを見せる。

↑ 独身にとどまっている理由(男性25〜34歳、3つまで選択可)(2021年)
↑ 独身にとどまっている理由(男性25〜34歳、3つまで選択可)(2021年)

↑ 独身にとどまっている理由(女性25〜34歳、3つまで選択可)(2021年)
↑ 独身にとどまっている理由(女性25〜34歳、3つまで選択可)(2021年)

男女ともに経年変化の傾向はほぼ一致しており、「しない理由」では減少するものばかり(ただし直近年では男女で「趣味や娯楽」、女性に限れば「必要性を感じない」も大きく増加している)。「できない理由」では「適当な相手にめぐり会わない」がトップに違いないが、「異性とうまく付き合えない」「結婚資金が足りない」などが増加の動きにある。特に「異性とうまく付き合えない」は直近年で大きく増加しているのが目にとまる。さらに「親や周囲が同意しない」が減っており、親族のしがらみが結婚の障壁となっている事例が減っていることがわかる。

はじめの一歩ともいえる「適当な相手にめぐり会わない」が高い値を維持している一方で、他の要因、しかも自分自身の意思ではない部分での障壁が高くなっているのでは、結婚のハードルがますます上がるように思えるのも致し方あるまい。

また両年齢階層で女性のみ「必要性を感じない」の値が直近年で大きく伸びているのは、女性における結婚願望そのものが減少しているのを意味しているのだろうか。


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