独身者が想う「独身生活の利点」、男女ともにますます「フリーダム」(最新)

2016/10/15 05:10

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先行記事【日本の「恋愛結婚」「見合い結婚」の推移】を手始めに、国立社会保障・人口問題研究所が2016年9月15日に発表した、日本国の結婚や夫婦の出生力の動向などを長期的に調査・計量する「出生動向基本調査」の最新版「第15回出生動向基本調査」を基に、結婚に関する考え方や、さらにはそれに連なる少子化との関連性に関してグラフによる視覚化を行い、世情動向の確認をしている。今回は公開値の中から「未婚者が”結婚せずに独身生活を続けることの利点”と考えている事柄」の確認をしていくことにする(発表リリース:【第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)】)。



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今調査に関する調査対象母集団や集計様式に関しては、出生動向基本調査に関わる先行記事の【日本の「恋愛結婚」「見合い結婚」の推移】を参照のこと。

先行記事で解説しているが、年齢によって多少の差異はあれど、最新データでは8割から9割の人が(タイミング・意思の強さの度合いを別にすれば)結婚をしたいと考えている。

↑ 未婚男性の結婚意思(結婚意欲詳細版、2015年)(再録)
↑ 未婚男性の結婚意思(結婚意欲詳細版、2015年)(再録)

↑ 未婚女性の結婚意思(結婚意欲詳細版、2015年)(再録)
↑ 未婚女性の結婚意思(結婚意欲詳細版、2015年)(再録)

男性では20代後半、女性でも30代に入るとやや増加するが、結婚するつもりが無い人は1割前後でしか無い。ただし結婚願望を持っていても多種多様な理由で先伸ばしにし、現状の独身生活を今しばらく続けたい人も多い(上記なら「いずれ結婚したいが、まだ結婚するつもり無し」が該当。もっとも、「理想的な相手がいれば結婚したい」は多分に現実から逃れるための、自己逃避に近いものもある。いわゆる「白馬に乗った王子様」である)。

それでは独身でいることのメリット・利点・長所とは何だろうか。該当しうる選択肢を複数掲げ、最大で2つまで挙げてもらった結果が次のグラフ。男女とも「行動や生き方が自由」とする回答が最上位についている。

↑ 調査別にみた、独身生活の利点(未婚者、上位二つまで選択)(男性)
↑ 調査別にみた、独身生活の利点(未婚者、上位二つまで選択)(男性)

↑ 調査別にみた、独身生活の利点(未婚者、上位二つまで選択)(女性)
↑ 調査別にみた、独身生活の利点(未婚者、上位二つまで選択)(女性)

【独身者が想う「結婚の利点」って何だろう】で挙げた「結婚することの利点」としては「精神的安らぎの場が得られる」「子供や家族を持てる」など、他人との関わりの中で得られる内面的な満足感が上位についている。一方で今回の記事テーマである「独身生活の利点」としては、内面的な満足感との視点では変わりが無いものの、他人との関わり云々ではなく「自分自身の」満足感に重点を置いているのが分かる。表現を変えれば「社交性を必要としない」とも表現でき、結婚を避ける男女の心境がかいま見れる。

また、調査期間別の変移は大きなものではなく、未婚者は「結婚により行動、生き方、友人関係が束縛され、家族扶養の点で精神的・金銭的負担が加わる」と考えているのが分かる。ただし細かい部分を見ると

●男性
・増加……行動面の自由さ、家族扶養の責任が無い
・減少……友人関係、異性との交遊

●女性
・増加……行動面の自由さ、住環境の選択幅、現状家族関係の維持
・減少……友人関係

の動きが確認できる。男女とも「広い友人関係を保ちやすい」項目は減少しつつあり(女性はまだ有意では無いが、男性同様「異性との交遊」も減少しているように見える)、見方を変えれば「結婚しても友人関係は広く保てる」と考えを変えつつあるようだ。あるいは結婚しようがしまいが、広い友人関係は持てないとあきらめている可能性も否定できないが。



レポート本文では特に言及されていないが、グラフを良く見直すと「異性との交際が自由」の項目は男性が、「職業を持ち社会との関係が保てる」は女性が多い(グラフにおける縦軸の区分は男女で揃えてある)。前者は「なるほど」と思える点であり、後者は【男性より女性の方が婚活には消極的・理由は「一人が楽しい」「他に時間を使いたい」】などにそのまま結果として出ており、納得のいく結果といえる。

ただし前者は漸減傾向にあり、異性に対する考え方が変わりつつある雰囲気もある。とはいえこれが「結婚しても異性との交際は自由だから、別に独身の利点とはいえない」を意味するのか、「異性との交遊そのものの興味が薄れている、あるいはあきらめているので、利点とは考えにくい」なのかまでは、今件項目部分だけでは分からない(結婚時のハードルに関する意識調査項目で、異性との交際が制限されうる云々は無い)。結婚観そのものの変化と共に、今後とも動向を注視していきたいところではある。


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