独身者が思う「結婚の利点」って何だろう(最新)
2025/02/27 02:49


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今調査に関する調査対象母集団や集計様式については、出生動向基本調査関連の先行記事【日本の「恋愛結婚」「見合い結婚」の推移】を参照のこと。
年齢によって多少の差異はあれど、最新の調査結果では独身者の8割強の人が(タイミング・意思の強さの度合いを別にすれば)結婚をしたいと考えている。

↑ 未婚男性の結婚意思(結婚意欲詳細版)(2021年)(再録)

↑ 未婚女性の結婚意思(結婚意欲詳細版)(2021年)(再録)
それでは独身の人たちは結婚することのメリットとして、どのような事柄を見い出しているだろうか。想定しうる選択肢を挙げ、最大で2つまで結婚の利点として合致するものを選択してもらった結果が次のグラフ。グラフ内の具体的数字は直近年調査となる2021年分のものである。なお項目序列は男性の直近分の値をベースとし、男女で縦軸の区切りを同じとして比較をしやすいようにしている。

↑ 調査別にみた、結婚することの利点(男性未婚者、上位2つまで選択)

↑ 調査別にみた、結婚することの利点(女性未婚者、上位2つまで選択)
まず男女ともに「子供や家族」「精神的安らぎ」など、内面的事柄が上位を占めているのが分かる。外面的な話よりもまずは自分自身の気持ち・安らぎの面で、大きなメリットと感じていることになる。
逆に外面的要素は本人自身に対する項目よりも低めで、特に女性は「親や周囲の期待」以外は誤差の範囲内でしかないのが確認できる。そして「外面的要素」は「親や周囲の期待」以外、近年ますます減少する動きにある。ただし女性では「社会的信用」が増加する動きにあるのが気になるところ。
内面的要素のうち「子供や家族を持てる」は増加傾向を続けている(直近では減少したが)。「家族を持つこと」への大切さ・喜びを価値の高いものとして認識し、それを得るための結婚もまた魅力あるものとして考える人が増えているのだろう。
他に気になる動向をいくつか、箇条書きで記しておく。
・女性は「経済的余裕」を結婚の利点としてとらえる動きが出ている。特に2015年以降大きな増加を見せ、2割を超えた。
・「親や周囲の期待」は前世紀まで減少していたが、今世紀に入ってから再び増加傾向に(直近年では減少したが)。
・「精神的安らぎ」は男女ともに減少の傾向。
・「社会的信用や対等な関係」は男性では今世紀に入ってから横ばいに推移している(直近年では減少)が、女性は増加の動き。
男性と比べて女性は「経済的余裕が持てる」の項目が確実に増加している。この動きは報告書にも特記事項として「経済的に余裕がもてる」の増加傾向について言及がある。ソロバン勘定が上手になりつつあるとの判断もできるし、結婚に対する価値観の変化の表れの一端であるとの認識も可能となる。女性における「社会的信用や対等な関係」と合わせ、女性の社会進出・共働き世帯化が影響しているかもしれない。「生活上便利になる」も同様の利用だろう。
男女とも自分自身のメリットに重点を置き、周囲の人の意見にはあまり耳を貸さない部分は、【男性66%・女性74%が「個人の自由だから結婚なんてしてもしなくても良い」】にもある「個人の自由だから結婚はしてもしなくてもよい」の裏返しともいえる。つまり「結婚のする・しないは自分の自由意思で決める。周囲のことは(あまり)気にしない」。ただし最近では周囲の目(主に期待の目)も多少ながらも気にし始めているようである。
また、男性は元々「(自分の)精神的安らぎが得られる」事を一義的に考えていたが、昨今では「(自分自身以外の人間である)子供や家族を持てる」を結婚の長所と考える人が増加している。この動きは男性の結婚観が「自分中心」から、「自分と、自分を含むもっとも身近な人たち中心」に変わりつつあると読めよう。もっとも直近では「子供や家族を持てる」の値が減少し、「精神的安らぎが得られる」が最上位となったが。
一方女性は「子供や家族を持てる」との家族形成に強い憧れを抱くと同時に、「経済的余裕」への魅力も増すなど、人間関係・金銭関係双方を求める動きが強くなりつつある。全体的な回答値は女性の方が上なことも合わせて考えると、「独身者の結婚への憧れは女性の方が強く、そして心理的・経済的双方の充足をも考えた、現実的な結婚観を抱いていており、昨今ではその傾向が強まりを見せている」と解釈できるのだろう。
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