「”いずれ結婚するつもり”。ならば一年以内は?」から考える晩婚化傾向(最新)
2025/02/21 02:30


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今調査に関する調査対象母集団や集計様式については、出生動向基本調査に関連する先行記事の【日本の「恋愛結婚」「見合い結婚」の推移】を参照のこと。
まずは復習も兼ねて調査母体における「生涯」の結婚意識。8割強の高い割合で「いずれ結婚するつもり」と回答している。

↑ 未婚者の生涯の結婚意識で「いずれ結婚するつもり」の回答(再録)
それではこの「いずれ結婚するつもり」と回答した人は、どの程度の強い気持ちで結婚願望を抱いているのだろうか。「1.一年以内に結婚したい」「2.理想的な相手が見つかれば結婚しても良い」の2つから成る「(条件が揃えば)一年以内に結婚しうる派」と、「3.まだ結婚するつもりはない」、言い換えれば「いずれは結婚したいけど、一年、二年ではなくて、あくまでも”今後”の話のレベル」との先送り・引き延ばし的心境を抱く「結婚はしたいけど先でもいいや派」、合計3つの選択肢を用意。そのうち最後の「3.結婚はしたいけど先でもいいや派」の推移をグラフ化したのが次の図。

↑ 調査・年齢別「まだ(一年以内に)結婚するつもりはない」と回答した未婚者比率(男性)(「いずれ結婚するつもり」と回答した人限定)

↑ 調査・年齢別「まだ(一年以内に)結婚するつもりはない」と回答した未婚者比率(女性)(「いずれ結婚するつもり」と回答した人限定)
まず男女別だが、ほぼどの年齢階層でも男性の方が回答率が高い(例外は1992年の30-34歳のみ)。結婚願望を持つ人においても、男性の方がモラトリアム感が強い中での願望であることが分かる。特に20代後半において、男女間の差異が大きい。ただし2021年では30-34歳の層において男女の差異が最大となっており、男性のモラトリアム感の強さが年上にシフトした感はある。
経年変化では年齢階層別に見ると20代前半までは男性でいくぶん減少、女性で増加する動き。女性は20代前半までの結婚に関しては、ぼんやりとした願いを持つ人が増えている一方で、男性は減少している。20代後半になると絶対値こそ違いはあれど、男女とも今世紀初頭までは増加、それ以降は減少している。30代前半では女性がほぼ横ばい、男性が増加する動き。
18-34歳の総計値では男女とも漸減、つまり可能ならば一年以内に結婚したい人が増えている動きを示している。独身者の結婚願望、しかも強い意識での願いを持つ人はわずかずつだが増えているようだ。
他方、直近2021年では、男女とも18-24歳で、そして男性に限れば25-29歳でもイレギュラーに見えるほどの減少が生じている。調査期間を思い返せば、新型コロナウイルスの流行による社会環境の変化が影響を与えている可能性はある。つまり、「いずれ結婚するつもり」の回答値そのものが2021年では大きく減少していることから、「まだ(一年以内に)結婚するつもりはない」の考えを持ちそうな人が、新型コロナウイルスの流行による社会環境の変化で、「いずれ結婚するつもり」そのものの回答から外れた、つまり結婚をあきらめたのかもしれない。
また、当然ながら、各調査時期においては、調査対象の年齢が上になるほど値が小さくなる。自分が歳を取るにつれて、「結婚はまだ後でいい」とする先延ばしの心境が弱まり、「一年以内に結婚したい」「理想的な相手が見つかれば結婚してもよい」とする前向きな姿勢を持つ人が増えてくる。これは例えるなら、夏休みが終わりに近づくにつれて、宿題にとりかかる人・終える人が増えてくるのと同じ傾向といえる。とりわけ女性では18-24歳と25-29歳との差異が大きいため、20代をタイムリミット的に考える人が多分にいるものと考えられる。
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