「自宅でのネットの窓口」として確固たる地位を占めつつあるタブレット機
2011/12/03 12:00
全世界に調査パネルを有するアメリカの調査機関comSCOREは2011年11月15日、インターネットのアクセス動向・トラフィック状況に大きな動きが生じつつあるとして【The Rise of Digital Omnivores】を発表した。直訳すると「デジタル雑食動物の台頭」で、これは「パソコン以外にスマートフォンやタブレット機など多種の窓口経由で、インターネットにアクセスすることがごく普通の時代になる」という、インターネットの利用スタイルの変化を意味している。今回は該当記事などをベースに「タブレット機やスマートフォンにおける、インターネットの窓口としての立ち位置」を見て行くことにする。
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今調査結果は計170か国以上・200万人を対象にしたcomSCOREのリサーチパネルからのデータを元にしている。また「パソコン」はデスクトップ以外にノートやネットブックなども含む。「モバイル」は一般携帯電話以外に(別途言及が無い限り)スマートフォンも含み、タブレット機は別途項目としている。
まずは「自宅でインターネットにアクセスする場合」、次の端末を使っているかについて。それぞれの機器の保有者に占める比率を示したのが次のグラフ(アメリカの場合)。
↑ 次の端末を「自宅での」インターネットへのアクセスに使っているか(各端末保有者に占める利用者の割合)(米、2011年9月)
これはあくまでも「対保有者比率」であって「全体比率」では無い。例えばタブレットなら「調査母体全体の2/3近くがタブレット機でネットアクセスをする」ではなく、「調査母体のうちタブレット機保有者の2/3近くが-」を意味する。タブレット機保有者はまだまだ少数なので、絶対数でみればさほど多くはないことは、すでに【主要国のモバイル・タブレット機によるトラフィック比率】で立証済み。
↑ インターネット上のトラフィック中、パソコン(デスクトップ・ノート)以外の端末経由のもの(2011年8月)(再録)
例えば自宅にパソコンとテレビゲーム機があった場合、わざわざゲーム機でネットアクセスをする人はあまりいない。携帯電話(スマートフォン含む)の場合は寝室などの環境下で「パソコンを持っていても」利用する場合も多々あるが、やはりパソコン保有者の88%と比べるとかなり落ちる。
ところがタブレット機の場合はパソコンに次ぎ、64%と高い値を示している。単純にタブレット機しかネットアクセスの窓口が無い人も少なくないだろうが、むしろ「パソコンを保有していても、その気軽さからタブレット機もネットアクセス端末として使う」人が多いと考えられる。パソコンを起動させて使えるようにするまで数分は確実にかかるが、タブレット機なら電源を入れて(あるいはスリープ状態から復帰させて)数秒-数十秒で利用が可能となる。そして(自宅内でも)機動力の大きさによる便宜性はタブレット機ならではのもの。
この「お気軽さ」「機動力」は朝の忙しい時間帯、そして夕食を摂った後のリラックスタイムに重宝される。次のグラフは元資料からのもので、「パソコン(オレンジ)」「携帯電話(薄い青)」「タブレット機(濃い青)」毎の「ニュース関連のサイト視聴のトラフィック比率」。トラフィックの絶対値では無く、個々の区分分けした端末種類毎の時間単位での百分比であることに注意してほしい。
↑ ニュースカテゴリ視聴における「パソコン(オレンジ)」「携帯電話(薄い青)」「タブレット機(濃い青)」のトラフィック比率(時間単位、アメリカ・2011年8月・平日時)
例えば夜8時ごろになるとグラフ上の%数では「タブレット>>モバイル>>パソコン」となるが、トラフィック量そのものはなおパソコンの方が多大であることに違いない。要は各機種区分ごとのピークが何時頃になるかを示している。
このグラフを見ると、平日日中はパソコンが良く使われるが、朝と夜の夕食後は携帯電話やタブレットが代替的に使われるようになることが分かる。携帯電話は機動力が非常に大きいため、常に所有者と行動を共にしているためか、日中も夜の時間帯もほぼまんべんなく使われている。しかしタブレット機は外部の持ち出しが少ないようだ。そしてむしろ夜遅い時間帯の方が(ニュース閲覧における)利用性向が高い。恐らくはゆっくりとリビングで一日の疲れをいやしながら、あるいは寝室で利用しているのだろう。
これまではこの立ち位置に雑誌や書籍などが付くことが多かったが、昨今ではモバイル端末、タブレット機、電子書籍リーダーがとって変わりつつある。そして以前別記事でも触れた、【Kindle Fireが飛ぶように売れている、との話】でも紹介したアマゾンのKindle Fire(キンドルファイア)が、さらにその立ち位置を強化する可能性を秘めている。パソコンなどと比べればトラフィックのボリュームはまだ少数だが、今後伸びる可能性が高いジャンルとして、留意をしたいところだ。
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