3割が「パスワードを友達と共有」…米の子供達のネットセキュリティへの対応
2011/11/29 06:11
米国内の大手調査機関の一つ【Pew Reserch Center】は2011年11月9日に同公式サイトにおいて、同国の子供達におけるソーシャルメディア上での他人との意志疎通や、その中で生まれるさまざまな感情や「いじめ」に関する調査結果【Teens, kindness and cruelty on social network sites】を発表した。今回はその中から、子供達のネットセキュリティへの考え方や、保護者による自分の子供達への監視傾向についてチェックを入れることにする。
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調査対象母集団に関する詳細は先日掲載した【ツイッター利用率は16%・SNSは78%…米の子供達のソーシャルメディア利用率】で解説済み。詳しくはそちらを参照のこと。
まずは「パスワードの共有」と「年齢偽証」の問題。「パスワードの共有」は友達やボーイフレンド・ガールフレンドとの間で行われることが多く、友情や信頼、愛情の証として受け止められることすらあるとリリースでは説明されている。
↑ 年齢偽証やパスワード共有経験(米12-17歳、インターネット利用者限定)
全体としては3割の子供が友達や恋人・異性の親友とパスワードの共有をしている。やや振れがあるが、全般的には「男性より女性」「幼少層より若年層」の方がパスワード共有率が高い。年が上の方がインターネットのセキュリティにおける認識度か高いはずなのだが、パスワードの共有にはリスクをあまり覚えていないようだ。
「親近感が強いほどパスワードを共有する」という考えはSNS上でも現れている。グラフ上には無いが、SNSを使っていない調査母体のパスワード共有率は19%でしかないが、SNS使用者は33%に達している。そしてそのパスワードをSNS経由でやりとりしている事例が多いとのこと。下手に断るといじめられるかもしれない、という恐怖感があると思われるが、安全面で考えれば非常に怖い話。現実では会ったことの無いSNS上の友達が、実はそのようなパスワード取得のために偽装した「親切なふりをして近づいてきた」詐欺師の可能性もあるからだ。
一方年令詐称・偽証は全般的にパスワード共有よりも多い。全体で44%、大体4-5割を維持している。さすがに成人近くになると該当率は低くなるが、13歳-14歳の過半数が年令偽証をしているのは驚き。具体的にどのようなサイト・サービスを利用するために年齢のサバを読んだのかまでは書いていないが、気になる話。
子供がこのように、年齢を偽ったりパスワードを共有するなど、大人から見れば危ない行為をする傾向がある以上、親としても子供の動向が気になる。子供が閲覧したウェブサイトをチェックする(履歴の確認など)をする親は、年と共に増加する傾向がある。
↑ 子供が閲覧したウェブサイトをチェックする親の割合(米12-17歳の子供がいる親)
携帯電話が高性能化し、パソコンと共に普及率を高め、インターネットへの子供のアクセスが当たり前になり、ソーシャルメディアへの利用率も高まるばかり。子供のインターネットへのアクセスに対する親の心配事、不安度が積み増しされてもおかしくはない。
↑ ソーシャルメディア利用性向(米12-17歳、インターネット利用者対象)(再録)
なお今調査母体の親のうち39%は子供と同じソーシャルメディアで「フレンド」の状態にあるという。親子の意志疎通ツールとして、あるいは監視ツール的に使っている場合もあるとのこと。往々にしてソーシャルメディアも含めたインターネットは、全世界に対してオープンにされる・され得るツールにも関わらず、一対一の対話ツールのように使われる事例も紹介されており、痛々しいものがある。
子供の年齢にもよるが、親が子供のブラウザ履歴をチェックするのは仕方の無い面もある(フィルタリングソフトの中には、そのような機能を持つ・充実しているものも)。一方年齢偽証やパスワード共有は、子供達の間では「ささいな事」という認識かもしれないが、大変大きなリスクを持つ行為である。保護者や教育機関は懇切ていねいに、その危険性を教え解くことが求められている。もちろん日本でも、その点はまったく変わるところが無い。
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