「SNS上で下品な行為を見ても無視したことがある」9割・「加勢した経験あり」2割…米の子供達のSNS上での道徳心
2011/11/27 12:00
アメリカの調査機関【Pew Reserch Center】は2011年11月9日、アメリカの子供達におけるソーシャルメディア上での他人との意志疎通、そこから生まれるさまざまな感情や「いじめ」に関する調査結果を発表した。その内容からは以前【米社会の子供達のネットとの付き合い方を箇条書きにしてみる】でも紹介した、多種多様な問題点や現状を知ることができる。今回はその中から、ソーシャルメディアを使っている子供達がSNS上で「酷いことや下品なこと」を見かけた際、周囲は、そして自分自身はどのような対応を示したのかについて探りを入れることにする(【Teens, kindness and cruelty on social network sites】)。
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今調査のうち、子供に対する調査は2011年4月19日から7月14日にかけて、アメリカ国内に住む12-17歳の子供(799人、うちインターネット利用者は770人)とその保護者に対し、英語とスペイン語を用いた電話インタビューによって行われた。大人のデータは2011年7月25日から8月26日にかけて18歳以上の男女・携帯電話経由者916人を含む2260人に対し、英語・スペイン語による電話インタビューで行われている。また「ソーシャルメディアユーザー」とは、「ソーシャルネットワークやツイッターを使っている」と報告した人と定義する(子供の場合、623人・調査母体全体の78.0%が該当する)。さらに両調査の調査結果は国勢調査などのデータによって、ウェイトバックがかけられた数字を使用している。
先に別記事で挙げたように、今調査母体では約3/4がFacebookに、1/10がツイッターに加入している。
↑ ソーシャルメディアのアカウント取得性向(米12-17歳、概算値)(再録)
この「ソーシャルメディアユーザー」のうち、SNS上で「酷いことや下品なこと」を見た経験がある子供(551人)に「その目撃時に、他人はどのような反応を示していたか」を聞いたのが次のグラフ。周囲が無視を決め込んでいた状況をしばしば見かける子供は55%にも達している。
↑ SNSで酷いことや下品なことが行われていた際、他人がどのような反応をしているのを見かけたか(米12-17歳)(ソーシャルメディアを利用して、SNS上で酷いことや下品なことを見かけた人限定)
一方でいじめの対象を守ったり、加害者側に下品なことをしないよう注意している状況を見かける人も少なくない。しかし「しばしば」の値が「無視を決め込む」の半数弱でしかないあたり、「見てるだけ」あるいは「気がつかない」傾向が強いことがうかがえる(「無視している」ように見えても、実は単に気が付いていないだけ、という場合もありうる)。さらに「注意する」に近い頻度で「加勢する」の目撃頻度も高い。
これが「第三者の行為を見かける頻度」ではなく「回答者本人の対応」となると、やや倫理道徳側に立った動きを見せる。
↑ SNSで酷いことや下品なことが行われていた際、自分はどのような反応をしたか(米12-17歳)(ソーシャルメディアを利用して、SNS上で酷いことや下品なことを見かけた人限定)
中二つの「苛められている人を守る」「下品なことをしないよう注意する」は、第三者の目撃経験より比率が高く、上下端の「無視を決め込む」「酷い行為に加勢する」は低い。調査母体以外で多くの人が「酷い行為に肯定的」なのか、単に「良い子ぶっている」だけなのか、それとも「傍から見た目と実情は別」なのかまではつかみとれないが、少なくとも回答者の意識としては「世間一般より自分は道徳的な対応をしている」という認識になる。
しかし見方を変えれば、2割の子供が「SNS上での下品、あるいは酷い行為を見て、自分も加勢した経験がある」ことになる。この数字を多いと見るか少ないと見るかは個々の判断にお任せするが、少なくとも(オンラインに限らずだが)「いじめで他人に棒を振り下ろす人は、次の瞬間に振り下ろされる側にもなりうる」ことを十分以上に啓蒙する必要はあろう。
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