米の子供達のソーシャルメディア内での「下品なこととの遭遇」「いじめ」状況
2011/11/25 12:10
アメリカ合衆国では大手となる調査機関の【Pew Reserch Center】が2011年11月9日に発表した報告書【Teens, kindness and cruelty on social network sites】では、同国の子供達の間で生じている、ソーシャルメディア上での他人との意志疎通、さらには生まれるさまざまな感情や「いじめ」に関する実情が語られている。今回はその中から、ソーシャルメディアを使っている子供達の「酷いことや下品なこと」との遭遇、そして「いじめ」体験について探りを入れることにする。
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調査対象母集団や調査方法に関する詳細は先の2011年11月20日に掲載した記事【ツイッター利用率は16%・SNSは78%…米の子供達のソーシャルメディア利用率】で解説済み。詳しくはそちらで確認してほしい。
先に別記事で挙げたように、今調査母体では約3/4がFacebookに、1/10がツイッターに加入している。
↑ ソーシャルメディアのアカウント取得性向(米12-17歳、概算値)(再録)
それではこれらソーシャルメディアを利用している子供達は、どれほどが「酷いことや下品なこと」に遭遇しているのだろうか。具体的な固有名詞を挙げて「これを見聞きしたことがあるか」ではなく、回答者が「酷いことや下品なこと」と認識したか否かなので、個々の判断には差異があり、さらに子供と大人との間にも違いがある(子供が「ひどい」と思うことが、大人には「当たり前」の場合もある)。それに留意する必要はあるが、全般的には子供の方が「ソーシャルメディア上で”酷いことや下品なこと”に遭遇するという認識」が強い。
↑ オンライン上で酷いことや下品なことを目撃する頻度(米、ソーシャルメディア利用者限定)
子供のソーシャルメディア利用者の9割近くが何らかの頻度で、オンライン上での「酷いことや下品なこと」を目撃している。しかも見聞きするだけでなく、自らその対象とされる割合も、大人より比率が高い。
↑ 過去1年間にソーシャルメディア内で酷いことや下品なことをされた経験があるか(米、ソーシャルメディア利用者限定)
認識の違いもあるが、10人ソーシャルメディアを利用する子供がいれば、そのうち1人か2人が「ネット上で下品な、あるいは酷いことをされた経験がある」という結果は、少々驚きを覚える。
これをもう少し具体的に、対象を本人に限定する「いじめ」という視点で見た場合、手段・経由としては「対面、面と向かって、リアルで」受けた経験がある子供が一番多い。過去一年間では12%の子供が「面と向かっていじめを受けた経験がある」と回答している。
↑ 過去一年間に次のような手段で・対象からいじめられた経験はあるか(米12-17歳)
「直接」よりは比率が低いものの、テキストメッセージでのいじめが9%、オンライン(多分にソーシャルメディア経由だろう)が8%、電話による通話でのいじめが7%。「直接より少なくて済んでいる」と読むべきなのか「オンライン経由でも1割近くの発生率が生じているのか」とすべきなのか、微妙なラインではある。
元資料には「直接」の値こそないが、その他3項目においては男女別の値も提示されている。驚く人もいるだろうが、男女間では最大3倍もの差が生じている。
↑ 過去一年間に次のような手段で・対象からいじめられた経験はあるか(米12-17歳)(機器経由、男女別)
元々この時期は女性の方が成長が早いことに加え、携帯電話に対する興味関心も強い。それも一因と思われるが、女性の経験率の高さは注目に値する。
元記事によればSNS経由での「いじめ」が社会問題化しているとし、ホワイトハウスでも今年3月と9月に「いじめ防止」に関する特別会議を招集、学校側でも特別なプログラムを組むことで対応に乗り出しているとある(【関連するホワイトハウスの発表・Background on White House Conference on Bullying Prevention】)。アメリカの事例を「他山の石」とし、日本でも本格的な調査と対策が必要な時期に来ているのかもしれない。
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【米社会の子供達のネットとの付き合い方を箇条書きにしてみる】
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