雇用周りで被災三県が望むこと、正規で長期安定的な雇用の確保

2011/11/26 06:15

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働く連合は2011年11月7日、東日本大地震・震災における被災3県(岩手県・宮城県・福島県)での意識調査結果を発表した。それによると調査母体においては、自分が住んでいる県の雇用に関して「一般成人の雇用確保」を望む声が一番強いことが分かった。2/3の人が同意を示している。ほぼ同数で「長期間安定的な正規雇用確保」が上がっており、被災3県では中長期的な雇用を確保する手立てが早急に求められているのが分かる(【発表リリース、PDF】)。



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今調査は2011年10月12日から17日にかけて携帯電話を使ったインターネット経由で、東日本大地震・震災前に有職者(パート・アルバイト含む)の立場にあり、岩手県・宮城県・福島県に居住していた20-60代の男女に対して行われたもので、有効回答数は3000人。男女比は1680対1320。調査実施機関はネットエイジア。

先に【被災三県の勤務状況、85%は前職維持・増える残業減る給与、高まる事業存続への不安】で挙げたように今調査母体では約15%の人が震災を境に前職を離れている。職場を継続している人も、多くが事業存続への不安をかかえている。

↑ 震災前後の状況変化(震災前と同じ勤務先で働いている人限定)
↑ 震災前後の状況変化(震災前と同じ勤務先で働いている人限定)(再録)

また、震災前後で職場が変わった人の4割は現職を「つなぎ」でしかなく、中長期的な雇用の場を求めている。

↑ 現在の勤務先は将来に向けたつなぎか、生涯勤務のつもりか(震災前後で別勤務先の人)
↑ 現在の勤務先は将来に向けたつなぎか、生涯勤務のつもりか(震災前後で別勤務先の人)(再録)

このような状況におかれている調査母体では、やはり雇用周りの要望として、「まず雇用そのものの確保」次いで「長期間安定的な正規雇用の確保」を望むのも当然といえる。

↑ 住んでいる県の「雇用」について、どのような対策を望んでいるか(複数回答)
↑ 住んでいる県の「雇用」について、どのような対策を望んでいるか(複数回答)

働く場があれば給金を得られ、生活を安定させることができる。また地元でその給金から支払いが行われれば、当然地域社会・経済の活性化にもつながる。短期間では無く、中長期の雇用確保は、働き手本人だけでなく、その家族、そして住まう地域全体を安定させる役割を果たす。「雇用の安定」が「経済、地域社会の安定」につながる以上、働き手本人は当然だが、それ以外の人でもこれらの項目を重要視するのは当然といえる。

第3位以降は、被災地域の雇用の現実、難しさを如実に表している。新卒を雇い入れるだけの余力が地元企業に無い。これまでの職・業種が被害を受け、新しい業界に足を踏み入れねばならないが、それを行うだけの手立てが無い。職そのものがなかなか見つからず、失業手当が切れてしまうなどなど。「望む」ことは現時点では「無い」「不十分」であることを考えれば、色々とすけて見えてくるというものだ。

以前からの繰り返しになるが、このような状況下の場合、被災地「外」からのリソースを大量に投入すると同時に、明確で正しい見通しが立つ健全な指針(計画そのものの促進意欲と、現場での「夢」による士気向上が期待できる)と、責任を伴う強力な指導力が必要になる。それらを元に経済を、事業を興し、雇用を確保しなければならない。

しかし現状では用意されたリソースは十分とはいえず、それらですら有効活用はあまり成されていない。現地での雇用の確保供給は、地域の復興・活性化を相乗効果的に生み出すことを、改めて認識してほしいものだ。


■関連記事:
【被災三県の勤務状況、85%は前職維持・増える残業減る給与、高まる事業存続への不安】



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