被災三県、震災を経て失職中の6割は「震災起因」
2011/11/23 19:30
連合は2011年11月7日、東日本大地震・震災における被災3県(岩手県・宮城県・福島県)での意識調査結果を発表した。それによると調査母体のうち震災前後で勤め先が違う人においては、その6割近くが「一時的な、つなぎとしての勤務先」という認識を示していることが分かった。男女別では女性の方がつなぎ意識が強い。また震災後に職から離れた人のうち6割近くは、震災の直接・間接的な影響を受けた失職であることが明らかになっている(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は2011年10月12日から17日にかけて携帯電話を使ったインターネット経由で、東日本大地震・震災前に有職者(パート・アルバイト含む)の立場にあり、岩手県・宮城県・福島県に居住していた20-60代の男女に対して行われたもので、有効回答数は3000人。男女比は1680対1320。
回答者に対して現職は震災前と同じか否か(つまり転職や失業、離職はしていないか)を尋ねたところ、84.8%は同じ勤務先に勤めていると回答した。
↑ 現在の勤務先・職業(単一回答、一部)(再録)
残り15.2%のうち10.0%分は「震災前後で勤務先が違う」と答えている。この人達に「”今”の勤め先は継続的なもの」か、それとも「一時的な、つなぎとしての勤め先なのか」を聞いた結果が次のグラフ。全体では59.3%が「つなぎ」派という結果になっている。
↑ 現在の勤務先は将来に向けたつなぎか、生涯勤務のつもりか(震災前後で別勤務先の人)
資料には「つなぎ」について「将来に向けての”つなぎ”的なもの」との説明しかない。近い将来に結婚やリタイアをするための一時的な「つなぎ」という可能性もあるが、震災前と違う職場で(最長でも半年強しか働いていない)短期のうちに、そのような考えに行きつくとは想定しにくい。「つなぎ」はその大部分が「中長期的な勤め先を決める・探すまでの一時的な職場」と見なして問題ない。
男女ではやや女性の方がつなぎ傾向が強く、男性の23.0%が「強い生涯勤務意志」を持つ職場なのに対し、女性は6.1%でしかない。転職を余儀なくされた人達も、辛い就職状況であること、中長期に勤め得る勤務先が見つからない現状がうかがえる。
一方、現時点で職についていない人(全体に対して無職3.8%+主婦・主夫1.4%の計5.2%)に、失職の理由を尋ねたのが次のグラフ。震災の影響では無い理由、例えば自己都合、定年退職、契約期間満了などをすべて「その他」にまとめ、震災に関連する理由だけを区分した。
↑ 直近で付いていた職を失った理由(現在無職+主婦・主夫)
震災による勤め先の業務不振などの理由がもっとも多く、現在失職中の人の6割近くが震災を起因としている。
先に【本格的・抜本的・包括的な経済対策を...】でも触れたが、被災地三県では「収入確保」や「職場確保」などのような、職の安定を求める声が強い。そして【被災三県の勤務状況、85%は前職維持・増える残業減る給与、高まる事業存続への不安】にもある通り、震災前後で同じ勤務先に勤めている人ですら、勤務先の事業存続に対する不安も強く抱いている。
産業を興し、職を興し、仕事を創ることこそが、被災地の復興・再生を成す大きな要素であることは間違いない。職が安定して地域で働く人の収入が安定すれば、お金は血流となって地域を巡り、活力になるからだ。官民挙げての施策に期待したい。
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