デジタル経由のプロモーション効果はネット普及と共に…東南アジア諸国のソーシャルメディアと意思決定の関係
2011/11/25 12:00
米調査機関のNielsenは2011年11月10日、東南アジア諸国のインターネットやモバイル端末の利用状況、それらを合わせたデジタル機器の利用時の関連性などを調査した「Southeast Asian Digital Consumer Habits and Trends」の概要レポート「Surging Internet Usage in Southeast Asia Reshaping the Media Landscape」を発表した。そこで先の記事【アジア諸国のネット利用率】と同じように、「Southeast Asian Digital-」などを元に東南アジア諸国のデジタル事情をかいま見て行くことにする。今回は「ソーシャルメディアと、商品選択や購入などの意志決定との関係」にスポットライトをあてることにしよう(【元記事】)。
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今調査の調査対象はインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの6か国。調査対象総数は8000人以上で15歳以上の男女を対象としている。なおデジタルコンシューマとは、デジタル機器の利用者層を意味する。
インターネットへの窓口が汎用化し、ソーシャルメディアの普及でコミュニケーションが活性化することにより、特に女性層において口コミ情報のやりとりがこれまで以上に活発に行われるようになる。対象を商品やサービスに限定しても【ネット好きなアメリカ女性のソーシャルネット事情を探る……宣伝効果と広告】や【北米女性は「良い経験」を他人に教えたくなる…商品情報の検索と共有傾向】、そして【ソーシャルメディアの現状が分かるバイラルビデオの新作「Social Media Revolution 2」を視聴してみる】で語られている「イギリスのモバイルインターネットのトラフィックの50%はFacebook経由によるもの。もしそのトラフィックが『商品やサービスに対するマイナスイメージの経験・体験談』だったらどういうことになるか、想像をしてほしい」などの言い回しが好例。
今調査母体では国によって結構な違いを見せるが、それでも2-6割強の人がインターネットを利用している。
↑ インターネット利用頻度(利用経験ありの人)(再録)
↑ インターネットを過去4週間に利用したことがある人(性別・世代別)(再録)
それではこれらの人達の、ソーシャルメディア上での商品への言及、あるいは意志決定行動はどのような傾向を見せているのか。それについて3つの項目から確認したのが次のグラフ。
↑ ソーシャルメディアと意志決定の関係について(過去1年間にしたことがある人)(15歳以上のデジタルコンシューマ対象)
すべての国において、「他人のレビューを読んだ」>>「関連動画を視聴した」>>「レビュー投稿や討論参加」という図式が出来上がっている。これらはいずれも実際の商品やサービス購入の意志決定の判断材料とされ、プラスにもマイナスにも働いている。他人のネット上の「口コミ」こと「レビュー」に目を通す人の多さは既知の通りだが、動画視聴率の高さにはやや驚きを覚える。商品やサービスのスタイルにもよるが、動画による実写の解説、状況説明は大きな関心を持って視聴され、意志決定にも少なからぬ影響を与えるということか。
またマレーシア、フィリピン、シンガポール、タイがほぼ同じような数字を示しているのに対し、ベトナムとインドネシアはかなり小さめの値に留まっている。ベトナムはインターネット周りの普及進展が「これから」であること、インドネシアはインターネットへの窓口がインターネットカフェや携帯端末がメインで、個人で大画面をじっくり視聴できる環境でのアクセス率が低いのが遠因かもしれない。両国のテレビ視聴スタイルが似通っているのも、気になるところ。
↑ テレビ視聴スタイル(15歳以上のデジタルコンシューマ対象)(再録)
インターネットへのアクセス環境の整備具合以外に、テレビやラジオなど既存メディアとの「ながら」視聴の多少も、ネット上での口コミの多い少ないに影響していると見てよいだろう。グラフ化は略すが、確かにこの2国は他の4国と比べ、「テレビを観ながらネット」「ラジオを聴きながらネット」の行為率が、他国と比べて明らかに少ない値をしているからだ。
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