アクセス元はデスクトップPC、ノート、それとも携帯? 東南アジア諸国のインターネットアクセス事情
2011/11/22 06:38
米大手調査機関の一つNielsenは2011年11月10日、東南アジア諸国のインターネット、モバイル端末の利用状況、デジタル機器の利用時のモバイルメディアにおける関連性などを調査した「Southeast Asian Digital Consumer Habits and Trends」の概要レポートを発表した。そこで先の記事【アジア諸国のネット利用率】に習う形で、「Southeast Asian Digital-」などをベースとして東南アジア諸国のデジタル事情を各方面から確認している。今回は「インターネットのアクセス窓口」にスポットライトをあてることにしよう(【元記事「Surging Internet Usage in Southeast Asia Reshaping the Media Landscape」】)。
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今調査の調査対象はインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの6か国。調査対象総数は8000人以上で15歳以上の男女を対象としている。ちなみに「デジタルコンシューマ」とは、デジタル機器の利用者層を意味する。
先に【東南アジア諸国におけるパソコンやタブレットPCなどの世帯保有率】でも触れたが、パソコン・携帯電話の別を問わなければ、今回取り上げる東南アジア諸国のインターネット普及率は次の通りとなる。
↑ インターネット普及率(対人口比、Internet World Statsから)(再録)
それではインターネットにアクセスするツールとして、どのようなデジタル機器を使ったことがあるだろうか。「デスクトップパソコン」「ノート・ラップトップ・ネットブックパソコン(要はモバイル系パソコン)」「携帯電話」の3項目に区分して尋ねた結果が次のグラフ。
↑ インターネットアクセスのために使ったことがある機器(15歳以上のデジタルコンシューマ対象)
いずれの国でも利用経験という点ではデスクトップパソコンを回答する人は極めて多い。一方で他記事にもある通り、デジタル・インターネットの浸透面ではやや遅れを見せるベトナム以外では、携帯電話での利用率も高い値を示している。また高性能で低価格なノートパソコンの普及を反映してか、シンガポールやマレーシア、タイなどではノートパソコンの値がデスクトップパソコンとほぼ肩を並べている(シンガポールでは逆転すらしている)。
これを「メインとして使っている」機器と聞き直したのが次のグラフ。各国のネット事情が如実に表れる形となっている。
↑ インターネットアクセスのために主に使っている機器(15歳以上のデジタルコンシューマ対象)
ベトナムでは圧倒的にデスクトップパソコンが多い。フィリピンもそれに次ぐ多さを示しているが、資料によれば「インドネシアとフィリピンではネットカフェ経由のインターネットへのアクセスが多い」「他国は自宅からのアクセスが多い」とあり、フィリピンでの値の多くがネットカフェからのアクセスと思われる(ちなみにインドネシアもデスクトップパソコン経由はネットカフェ経由が多い(【モバイル大展開…ニールセンのレポートからインドネシアのネット事情をかいま見る】や【iza:インドネシアでネット利用者が急拡大】)参照)。
そのインドネシアでは他の記事でも言及している通り、国土の特性からインターネットインフラの整備が遅れ気味で、それを補完する観点から(ネットカフェと共に)携帯電話によるアクセスが盛ん。他国の数%とは大きく異なり、43%と極めて高い値を示している。これは6か国の中では唯一「デスクトップ・ノートパソコンの値を超えた、ネットアクセスのメイン端末としての利用率」となる。
今データだけで判断すれば、インターネットへの窓口という視点では「先行するシンガポール」「その後を追うマレーシアやタイ、フィリピン」「スタートダッシュをかけたベトナム」「国土の特性から別コースを走るインドネシア」のような表現ができる。
これらの国々の人口を考慮すれば、インフラの整備と安価なインターネットのへアクセス環境の提供(スマートフォンを中心に、多分にモバイル系へ主軸が置かれるだろう)が進むことで、インターネット事情は大きな変化を見せるに違いない。例えば現時点で16.1%のネット普及率を示しているインドネシアは、人口が2億4600万人(【Internet World Stats】から)。仮に普及率が2倍の32.2%になるだけで、同国発のインターネット利用者は4000万人増加することになる。さまざまな障壁がインターネットの普及スピードをゆるやかなものとしているが、各国のポテンシャルの高さは認識しておくべきだろう。
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