本の詳細情報どこから入手? ネットが一番・本屋が二番

2011/11/20 07:04

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検索日本書籍出版協会が総務省の「新ICT利活用サービス創出支援事業(電子出版の環境整備)」に提出して採択され、公知されている【「次世代書誌情報の共通化に向けた環境整備」プロジェクト】の公開情報には、出版市場の現状を探る多様なデータや調査結果が盛り込まれている。今回はその中から、「書誌情報」(書籍やコミックなどの、名前や値段、出版社など各種情報)の入手先について調べた項目を抽出し、眺めてみることにした。



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今調査は2011年1月24日-28日までインターネット経由による事前調査(本調査の調査母体を「読者をする人」のみとするための対象者スクリーニング)、31日-2月2日まで本調査が行われ、事前調査の有効回答数は5480人・本調査での有効回答数は2000人。本調査の男女比は1対1、年齢階層比は10代と20代・30代・40代・50代・60歳以上で均等割り当て。

先に【「本の詳しい情報が知りたい」そのきっかけは何だろう?】で、気になった本の詳細を確認する素材として、あるいは購入するか否かを決めるための判断材料として、「書誌情報」についてスポットライトを当てた。必要となる状況は「好きな著者の新刊発売」「新聞や雑誌の書評を見かけた」「本屋・車内等のPOPを見た」など多岐にわたる。

↑ 書誌情報が必要なケース(複数回答)
↑ 書誌情報が必要なケース(複数回答)(再録)

それでは「書誌情報」が必要と判断した際に、どのような経路で情報を取得しているだろうか。用意されている選択肢から一つ、つまりもっとも多用している方法を選んでもらった結果が次のグラフ。

↑ 書誌情報入手先(択一)
↑ 書誌情報入手先(択一)

インターネットの検索機能を使う人がもっとも多く、ほぼ半数に達している。インターネット系はほぼ検索機能で充足してしまうようで、二番手・三番手以降としては使われているかもしれないが、「出版社サイト」「コミュニティ」をもっとも多用している人はほとんどいない。

一方「大型書店」「近所の書店」などの「本屋」を一番当てにしている人も多い。大型書店となれば専用の検索端末もある。本屋の従業員はそれなりに本の情報に明るいし、内部端末で確認もできる。何より従業員自身の経験や柔軟的思考で、不確かな情報から正しい本を導いてもらえる可能性もある(ネットコミュニティ上で同じことをしてもらうという手もあるが、確実性に欠ける)。「書誌情報」を探すという観点では、書店はいまだに頼られているのが確認できる。

世代別に見れば「若年層=インターネット」「高齢層=書店」という構図は容易に想像できるが、残念ながら資料にはそのデータは無い。代わりに性別データが用意されているが、これはこれで興味深い結果を呈している。

↑ 書誌情報入手先(択一)(男女別)
↑ 書誌情報入手先(択一)(男女別)

男性は「インターネット検索」や「大型書店」などで女性より上。一方女性は「近所の書店」「友人・知人」「図書館」など、他項目と比べるとコミュニケーション性の高い場所での手段を多く用いる傾向がある。女性がインターネットや大型書店を敬遠しているか否かまでは今調査だけでは判断できないが、少なくとも男性よりは「身近なところでの書籍情報入手を好む」傾向があることは確認できる。



良い本との巡り合いは、素晴らしい人物との出会いに匹敵する価値を生み出しうる。場合によってはその人の一生を左右する話、言葉、知識を得る可能性もある。その可能性を、書誌情報の不足で潰してしまうのは非常にもったいないお話。自分が使いやすい手法を使い、分からなければ素直に周囲の人に問いかけ、可能性の芽を育てて欲しいものだ。



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