Facebookの実名利用者約6割…ソーシャルメディア利用者の個人情報、公開範囲はどれくらい?

2011/11/16 06:45

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公開ネットエイジアは2011年11月14日、ソーシャルメディア利用者における「対人距離感」に関する調査結果を発表した。それによると主要ソーシャルメディア「ブログ」「ツイッター」「mixi」「Facebook」いずれか一つ以上を利用している調査母体においては、性別やハンドルネームは公開率が高いものの、実名や年齢、自分の写真などの公開率は低い傾向にあることが分かった。ただし実名・本人自身の披露・活動を原則としているFacebookでは他のソーシャルメディアと異なり、実名や写真を公開する率が高い値が出ている(【発表リリース】)。



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今調査は2011年9月20日から27日にかけて、15-44歳の男女で「ブログ」「ツイッター」「mixi」「Facebook」いずれか一つ以上を使っている携帯電話ユーザーに対し、携帯電話経由のインターネットリサーチ方式で行ったもの。有効回答数は1020人。男女比は34.6対65.4、年齢階層比は10代・20代前半・20代後半・30代前半・30代後半・40代前半で均等割り当て。

【ソーシャルメディアで使われる名前と本名との関係(2011年版情報通信白書より)】【どこまで見せる、教えるか? ソーシャルメディア利用時の個人情報の開示範囲(2011年版情報通信白書より)】で総務省発表による「2011年版情報通信白書」にて、ソーシャルメディア利用者における「個人情報の開示範囲」という、今件と似たようなテーマを取り上げた。その調査では、利用者本人の実名をはじめ「素性」の公開が原則であるFacebookが含まれておらず、他のソーシャルメディアとの違いも合わせ気になるところではあった。今件調査では「ブログ」「ツイッター」「mixi」そして「Facebook」と4種類のソーシャルメディア利用者それぞれにおける、個人情報の公開範囲を尋ねており、注目すべき内容といえる。

まずは利用者本人の直接データ的なもの。名前や性別、生年月日などで、個人を特定することは可能だが、そのデータだけではすぐに不特定多数がその人の各種素性を明らかにしたり、何らかの影響力を及ぼすことが難しい範ちゅうのデータに関する公開について。

↑ 公開している自分の情報(個々サービス利用者に対する比率)-1
↑ 公開している自分の情報(個々サービス利用者に対する比率)-1

例えば「ブログ」で「実名」を公開している人の割合は15.1%とある。これはブログ利用者(571人)のうち15.1%が、自分の実名を公開してブログを運用していることを意味する。調査母体全体の1020人に対する比率では無いので、注意を要する。

冒頭でも触れたように、実名や年齢・生年月日は比較的公開度が低い。一方で性別やハンドルネームはかなり高め。性別を隠す、あるいはあえて明記しないこだわりを持つ人もいるが、大体3割前後でしか無い。ハンドルネームも同様に公開度が高いが、これは何らかの名称を自身に与えておかないと、ソーシャルメディア上のやり取りが難しいのも一因(「不特定多数の一人」の立場を楽しむ、あるいは意図的に自身を特定化しない楽しみ方もアリだが)。

一方「Facebook」は上記にもある通り、本名・個人情報の(支障の無い範囲での)公開が原則なため、実名利用者が2/3近くにも達している。また、年齢・生年月日の公開率も高い。「mixi」は「ブログ」「ツイッター」と「Facebook」の中間位の値を占め、さらに「実名では無いが友人や家族には分かる名前」の率が飛びぬけて高い。これは元々「mixi」がクローズなSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)だったこと、地域密着型の交友関係を推し進めるシステムを多数用意しているのが要因。「不特定多数の人には特定されたくはないが、同窓生には自分だと分かって欲しい。この呼び名を提示すれば、分かる人は分かるはずだ」といった公開方法が好例だろうか。

例えば住所や勤め先など不特定多数の第三者にも個人を特定されやすく、リスク度が高い個人情報の類となると、開示度は低くなる。

↑ 公開している自分の情報(個々サービス利用者に対する比率)-2
↑ 公開している自分の情報(個々サービス利用者に対する比率)-2

比較しやすいように上のグラフと縦軸の区分を同じにしたが、ひと目で各項目の回答率=公開率が低いのが理解できるはず。

その一方、「Facebookの開示性の高さ」「mixiの特異性」もこちらの項目でも確認できる。Facebookは不特定多数との間で「利用者本人」による交流をイメージしているため、個人が特定され、リアルで連絡が容易につけられる情報を開示する人の割合も高い。「mixi」もFacebook程ではないにせよ、ブログやツイッターと比べれば開示率は高いものの、「ダイレクトに即行で」の連絡は好んでいない(電話番号や住所の開示率は低い)、出来れば元から自分本人をリアルで知っている人に気がついて欲しい(「友人や知人のみ特定可能」な自分の写真公開率が高い)などが見て取れる。



全般的なイメージとしては、個人情報の開示の観点においては、

「ブログとツイッターは近い関係」
「ただしツイッターの方がやや開示率が低い」
「Facebookは公開性が一番高い」
「mixiはFacebookと、ブログ・ツイッターの中間。ただし元々リアルで付き合いのある・あった人との関係を強化する、強化できる開示方法を好む」

などの傾向が確認できる。同じソーシャルメディアでも個々の特性やポリシーから考えれば、妥当な線といえる。

他方、Facebookでも個人情報の公開度が低い感はあるが、これは日本国内における慣習によるところが大きいと見てよい。かつて掲示板で構築されるのがメインだったインターネットコミュニティにおいては、欧米が記名制・アカウント登録制が多数派だったのに対し、日本では匿名制が主流を成し、ネット上の文化を形成したからだ。

注意してほしいのは、一度開示した情報は元には戻らないこと。「住所を公開したけど、都合が悪くなったので、皆さん忘れて下さいね」とお願いしても、インターネット上に広まったデータすべてを消すことは不可能。個人情報の開示には、十分過ぎるほどに慎重を期してほしいものである。



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