雑誌と書籍の比率は? 出版物の推定販売金額推移
2011/11/16 12:00
先日まで【出版物の売り場毎の販売額推移(2011年「出版物販売額の実態」版)(番外編:電子書籍独自追加版)】などのように、『出版物販売額の実態』の最新版「2011年版」を元にした、出版業界の各種データをグラフ化し、分析を行った。その際電子書籍周りの補完情報を探している最中に、日本書籍出版協会が総務省向けのプロジェクトとして実施し、結果を公知発表した【「次世代書誌情報の共通化に向けた環境整備」プロジェクト】を見つけた。その内容からもまた、出版業界の現状をかいま見る数字、調査結果を得ることが出来た。今回はその中から、出版業界における出版物の推定販売金額推移をグラフ化してみることにする。
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今件データは「全国出版協会・出版科学研究所「出版指標年報」(2010年)を元にしているとあり、それによるデータ、さらにその値を元にした形成グラフは次の図となる。『出版物販売額の実態』の最新版「2011年版」ではほぼ同じデータを「販売ルート別」で区切って開示しており、【出版物の売り場毎の販売額推移(2011年「出版物販売額の実態」版)】でグラフを生成・掲載しているので、それも再録の形で併記する。
↑ 出版推定販売金額推移(全国出版協会・出版科学研究所「出版指標年報」)(億円)
↑ 出版推定販売金額推移(全国出版協会・出版科学研究所「出版指標年報」)(金額ベースによる全体額に対する比率推移)
↑ 販売ルート別推定出版物販売額(億円)(再録、【出版物の売り場毎の販売額推移(2011年「出版物販売額の実態」版)】から)
計測対象の差異などから数百億単位の金額の差はあるものの、両資料上共ほぼ同じ形で推移しているのが分かる。また今件資料グラフを金額ベースで見ると、雑誌と書籍では少しずつ雑誌の比率が下がり、書籍比率が増加しているのが確認できる。紙媒体そのものが全体的に減退傾向にあるものの、雑誌は一様に減退する一方、書籍は今世紀に入ってからも何度か前年比でプラスの販売実績を上げており、健闘をしている点が、比率増加の要因として大きい。
雑誌の販売額漸減は、先の記事でも繰り返し言及しているように「コンビニや駅売店など購入窓口の(置き場面積・数量)減少」「手に取り読まれる機会となる通勤通学時の『暇つぶし』の時間をモバイル端末に奪われた」「可処分所得の減退」などによるものと推定される。書籍が何度か盛り返しを見せるのは、単独、あるいは他メディアとの相乗効果で生まれたベストセラーの登場によるところが大きいのだろう。
なお本文中には「1996年に過去最高の2兆6563億円まで伸びた売上」との表現が確認できる。開示されているデータは1998年までだが、1997年以降は直近の2010年まで同じ状況だったことが容易に想像できるというものだ。
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