「価値がある」と「対価を支払う」と…米タブレット機利用者のニュースへの対価の考え方

2011/11/05 12:00

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支払いアメリカの大手調査機関【Pew Reserch Center】が2011年10月25日に同社公式サイトにて発表した、アメリカにおけるタブレット型パソコン(iPadなど、タブレット機)の利用状況調査結果では、同国のタブレット機の利用性向、普及で変わる「ニュース購読との関わり方」を推し量ることができる。今回はその結果の中から、タブレット機で読むニュースへの価値の認定と対価の考え方について精査していくことにする(【発表ページ】)。



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今調査結果の調査要件は先行記事の【米タブレット機とニュースの購読事情を探る】で解説済み。詳しくはそちらを参考にしてほしい。

その先行記事でも解説しているが、調査母体全体(成人)に対しタブレット機保有者は11%。その保有者のうち約半数は毎日ニュースを確認している。グラフには記載していないが、「毎日」ではなく「週一以上」にハードルを低くするとニュース購読率は77%(1159人中894人)となる(これを今件では「ニュース購読者」と呼ぶ)。

↑ タブレット保有・利用状況(米、2011年7月、成人対象)(再録)
↑ タブレット保有・利用状況(米、2011年7月、成人対象)(再録)

それではそのニュース購読者に、タブレット機経由で読めるニュースの価値は、「他ツール経由のと比べてどのような価値の相違を見出しているのか」について聞いたのが次のグラフ。

↑ タブレット機経由のニュースの価値は他の媒体経由のニュースと比べると(対タブレット機で週一以上頻度でニュースを見る人比率)
↑ タブレット機経由のニュースの価値は他の媒体経由のニュースと比べると(対タブレット機で週一以上頻度でニュースを見る人比率)

大本の情報としては同じでも、新聞よりも速報性に優れ、インターネット上の公式サイトでの購読と比較すれば機動性に富んでいる。一般携帯電話やスマートフォンよりは多機能・高性能・画面領域の広さを活かした利用ができるため、同じ内容でも高い価値を見いだせ得る。結果として、16%の人が高い価値を認めている。逆に低価値と見なしている人は5%。

興味深いのは、これらニュース購読者のうち実際に対価(月額料金など)を支払っている人の比率が16%という値であること。「高い価値を認めている人の比率」とほぼ一致している。

↑ タブレット機からのニュース取得に対価を支払っているか(対タブレット機で週一以上頻度でニュースを読む人比率)(※原文本文では14%とあるが、次項目で「週一以上のニュース購読者のうち対価支払いをしていない人は754人」という表記があるため、支払いをしている人は894-754=140人。894人中15.7%となり、今回はこの値を適用した)
↑ タブレット機からのニュース取得に対価を支払っているか(対タブレット機で週一以上頻度でニュースを読む人比率)(※原文本文では14%とあるが、次項目で「週一以上のニュース購読者のうち対価支払いをしていない人は754人」という表記があるため、支払いをしている人は894-754=140人。894人中15.7%となり、今回はこの値を適用した)

もちろん「高価値認定者」がそのまま「対価支払い者」ではないが、両者には(少なくとも人数比率の上では)近しい関係があると見受けることができる。

さて、ニュース購読者のうち現在対価支払いをしていない人(ニュース購読者894人中754人)に対し、「タブレット機経由でしか入手できない情報がある」「その情報が自分の欲しているカテゴリのもの」だった場合、月額いくらまでなら支払えるかについて尋ねたのが次のグラフ。

↑ タブレット機経由でしか入手できない情報があり、それを自分が欲している類のものだった場合、月額対価としてこの額を提示された時、支払って購読するか(タブレット機で週一以上でニュースを読む人のうち、現時点で対価を支払っていない人限定)(対象者を半分に分け、5ドルと10ドルそれぞれどちらかのみを聞いている)
↑ タブレット機経由でしか入手できない情報があり、それを自分が欲している類のものだった場合、月額対価としてこの額を提示された時、支払って購読するか(タブレット機で週一以上でニュースを読む人のうち、現時点で対価を支払っていない人限定)(対象者を半分に分け、5ドルと10ドルそれぞれどちらかのみを聞いている)

今件はグラフタイトルにもあるように、回答者を二分した上で、それぞれ別の金額提示をして答えてもらっている。同一人物に二つの金額を尋ねた場合、どちらを先に聞いても、次の設問の回答に微妙な変化を与えてしまうからだ(例えば先に10ドルを聞き、次に5ドルを聞いた場合「10ドルでは高いけど、5ドルくらいなら仕方ないか」と、最初から5ドルだけを聞いた時と比べて甘い判定を下す可能性がある(「ハイボール・テクニック」と呼んでいる))。

結果、5ドルの場合は21%が、2倍の10ドルではほぼ半分の10%が「支払っても良い」と答えている。実際には情報の重要度・好き嫌い度・価値認定度、さらには支払いの手間など多数条件が判断材料となるため、一概には金額だけで支払いの是非は決定できない。しかし、料金の高低は有料購読制度を使うか否かにおいて、重要な判断材料となることが分かる。そして一つの基準として、「料金と購読率は反比例の関係になりうる」という傾向も見て取れる。



オンライン上のコンテンツの課金については、直接購読者から徴収するか否かもあわせ、多種多様なビジネスモデルが考察され、利用されている。今件データはコンテンツと対価の関係の一事例として、留意に値する内容といえよう。



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