タブレット機は魔法のツール…米タブレット機利用者のニュース購読上の変化
2011/11/02 06:25
アメリカの調査機関【Pew Reserch Center】は2011年10月25日、アメリカにおけるタブレット型パソコン(iPadなど、タブレット機)の利用状況に関する調査結果を発表した。そこからはアメリカでのタブレット機の利用性向、タブレット機の普及で変わる、ニュース購読との関わり方を斜め見ることが出来る。今回はその結果の中から、タブレット機の活用がニュース購読にどのようなメリットをもたらしているのかについて、見て行くことにする(【発表ページ】)。
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今調査のうち一部は2011年6月30日から7月31日にかけて、18歳以上のアメリカ国内に住む男女に対し、通話電話経由で英語で、電話に出た人に対して(固定電話の場合は「現在自宅にいる最年少の成人男性、または女性」に、携帯電話の場合は出た人が18歳以上の場合に、その人本人に)行ったもの。総回答者数は5014人(固定電話経由は3150人、携帯電話経由は1864人)で、タブレット利用者は504人(固定電話経由では293人、携帯電話経由では211人)。その上で回答結果に対し2010年3月の国勢調査データに基づき、各種ウェイトバックが行われている。他の調査(例えば2011年7月実施の、タブレット機保有者1159人に対する調査)もほぼ同様のスタイルで行われている。
以前の記事でも解説しているが、調査母体全体(成人)に対しタブレット機保有者は11%。その保有者のうち約半数は毎日ニュースを確認している。グラフには記載していないが、「毎日」ではなく「週一以上」にハードルを低くするとニュース購読率は77%(1159人中894人)となる。
↑ タブレット保有・利用状況(米、2011年7月、成人対象)(再録)
この「週一以上ニュース購読者」に向けて、タブレット機の保有前後でニュースを読む時間の変化を聞いたところ、増えた人は3割に登り、減った人は4%でしかなかった。
↑ タブレット機保有以降のニュースを読む時間の変化(対タブレット機で週一以上頻度でニュースを読む人比率)(再録)
それではタブレット機の保有・利用で、ニュース購読においてどのような心境・利用上の変化が生じたのか。「新しいことを知る難易度」「ニュース取得・購読の楽しみ」「ニュースの購読時間(再録)」について尋ねた結果が次のグラフ。
↑ タブレット機の利用で生じたニュース周りの変化(対タブレット機で週一以上頻度でニュースを読む人比率(全タブレット保有者の77%))
「ニュース」という言葉そのものが表しているように、ニュースも含めた新しい情報を取得する際の難易度・ハードルが、タブレット機の利用で低くなったとする人は38%。逆に難しくなったという意見は4%でしかなく、差し引きで約1/3のニュース購読者は「タブレット機で新しい情報の取得がしやすくなった」と実感している。
そしてニュース取得・購読そのものが楽しくなったという意見も3割強。否定的意見は1割近いが、足し引きするとやはり好意的意見の方が多い。そして前述したように、ニュースの購読時間が増えた人は3割。
パソコンやノートパソコン、新聞や雑誌、テレビなどからタブレット機にニュース取得・購読の場を移しているという意見も少なからず確認できるが、それは単なる気まぐれによる「(タイム、ツール)シフト」では無い。
↑ どの媒体で見ていたニュースの代わりにタブレット機で読むようになったか(対タブレット機で週一以上頻度でニュースを読む人比率)(再録)
中にはモノ好きな人もいるかもしれないが、多分には「楽だから」「優れているから」「便利だから」など、何らかのメリットが存在するからこそ「シフト」が起きる。今後さらにタブレット機の性能が上がり、アプリやニュース提供の仕組みが進歩していけば、少なくともニュース購読をする人における「タブレット機取得のメリット」は積み増しされ、それが間接的に普及率を高める一因にもなるに違いない。
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