「新聞の代わりに」6割近く…米のタブレット機でニュースを読む人の購読スタイルとシフト

2011/10/31 06:31

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タブレット機アメリカの調査機関【Pew Reserch Center】は2011年10月25日、アメリカにおけるタブレット型パソコン(iPadなど、タブレット機)の利用状況に関する調査結果を発表した。そこからはアメリカでのタブレット機の利用性向、タブレット機の普及で変わる、ニュースとの関わり方をかいま見ることが出来る。今回はその結果の中から、タブレット機でのニュースで変わっていく購読スタイルの概要部分を抽出して見て行くことにする(【発表ページ】)。



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今調査のうち一部は2011年6月30日から7月31日にかけて、18歳以上のアメリカ国内に住む男女に対し、通話電話経由で英語で、電話に出た人に対して(固定電話の場合は「現在自宅にいる最年少の成人男性、または女性」に、携帯電話の場合は出た人が18歳以上の場合に、その人本人に)行ったもの。総回答者数は5014人(固定電話経由は3150人、携帯電話経由は1864人)で、タブレット利用者は504人(固定電話経由では293人、携帯電話経由では211人)。その上で回答結果に対し2010年3月の国勢調査データに基づき、各種ウェイトバックが行われている。他の調査(例えば2011年7月実施の、タブレット機保有者1159人に対する調査)もほぼ同様のスタイルで行われている。

以前の記事でも解説しているが、調査母体全体(成人)に対しタブレット機保有者は11%。その保有者のうち約半数は、毎日ニュースを確認している。グラフには記載していないが、「毎日」ではなく「週一以上」にハードルを低くするとニュース購読率は77%(1159人中894人)となる。

↑ タブレット保有・利用状況(米、2011年7月、成人対象)
↑ タブレット保有・利用状況(米、2011年7月、成人対象)(再録)

この「週一以上ニュース購読者」に向けて、タブレット機の保有前後でニュースを読む時間の変化を聞いたところ、増えた人は3割に登り、減った人は4%でしかなかった。

↑ タブレット機保有以降のニュースを読む時間の変化(対タブレット機で週一以上頻度でニュースを読む人比率)
↑ タブレット機保有以降のニュースを読む時間の変化(対タブレット機で週一以上頻度でニュースを読む人比率)

変わらない人は約2/3。増えた・減ったを差し引きすると、全般的には増える傾向と見てよい。

読む時間が増えたのは、単にざっと読むする量が増えたのか、それともじっくりと読む解くようになったのか。それを推し量れるのが次のグラフ。

↑ 自分のタブレット機でニュースをじっくり読む頻度(対タブレット機で週一以上頻度でニュースを読む人比率(全タブレット保有者の77%))
↑ 自分のタブレット機でニュースをじっくり読む頻度(対タブレット機で週一以上頻度でニュースを読む人比率(全タブレット保有者の77%))

全般的には青系統色の面積が広く、じっくり読むために時間が増えていることが推測できる。そして世代別では中堅層ほど「深く読み説く」割合が高い。またタブレット機でのニュース購読において、高齢者は深読みをするのが他世代と比べて低頻度であり、特に「皆無」の割合が2割近いのにも注目に値する。

「タブレット機でニュースをじっくり読む」が具体的にどのような行動を意味するのか。いくつかのパターンを想定して選択肢を呈し、答えてもらったのが次のグラフだが、「元々自分が探していなかったニュースの長文を読む」とする人が9割近くに達している。

↑ 購読性向(対タブレット機で週一以上頻度でニュースを読む人比率(全タブレット保有者の77%))
↑ 購読性向(対タブレット機で週一以上頻度でニュースを読む人比率(全タブレット保有者の77%))

インターネット上での情報取得は、検索が気軽に出来ることから、「本人が望んだ情報しか取得しない」という話がある。しかし今件結果を見る限り、関連性の多少はあるものの、直接探した対象では無い文章を読み説く人が多数に及んでいることになる。また「付せん機能」「バックナンバー機能」もそれなりに活用され、ニュース購読者にとっては有意義であることが分かる。

最後は、元媒体の関係者にはもっとも重要となる値。今現在タブレット機でニュースを購読している人が、それ以前は何を使っていたか。言い換えれば、どの媒体からタイムシフト・ツールシフトが起きたかを示すもの。

↑ どの媒体で見ていたニュースの代わりにタブレット機で読むようになったか(対タブレット機で週一以上頻度でニュースを読む人比率)
↑ どの媒体で見ていたニュースの代わりにタブレット機で読むようになったか(対タブレット機で週一以上頻度でニュースを読む人比率)

元々タブレット機はパソコンとゆかりが深い(というよりはパソコンの一種)だけに、デスクトップやノートのパソコン(PC)の代替とする回答が8割近く。これは表現を変えれば「ネットからネットへ」なので大勢に変化は無い。

タブレット機でニュース購読注目すべきは「紙の新聞や雑誌」「テレビ」。それぞれ6割近くが回答している。完全移行か、ある程度の移行か、移行程度までは尋ねていないし、いわゆる「ながら」で継続している可能性もある。とはいえ、他媒体・他ツール経由での「ニュース購読者」がタブレット機に移っているのは確実で、見方を変えればこれらの媒体は「購読者を食われている」ことになる。

購読者の立場としては「情報の取得」が第一義であり、利用するツールの種類は二の次、三の次。より便利で使いやすく、他の用途でも利用頻度が高いものがあれば、そちらにシフトしていくのは当然といえよう。


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