公営借家の5割強には高齢者が居住…高齢者と居住住宅の種類の関係(最新)

2020/02/26 05:22

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2020-0217総務省統計局が2019年4月26日に発表した、2018年時点における住宅・土地統計調査の速報集計結果を基にした記事のうち、先に掲載した【年上ほど公営住宅率は上昇…世帯主年齢階層別の住宅種類】の中で、高齢者(65歳以上)と居住住宅の種類の関係について少々言及した。今回はその内容について、もう少し掘り下げて実情を確認していくことにする。蓄財する期間も長いことから、持家比率が高いことは事実ではあるが、その一方で世間一般で語られている、公営借家(地方自治体が提供する賃貸住宅、アパート、団地の類)の高齢化問題も浮き彫りになる結果を見ることができる(【発表ページ:平成30年住宅・土地統計調査】)。


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今調査の調査要項は先行記事【住宅の空き家率は13.6%で過去最高に(最新)】を参考のこと。

最初に確認するのは、世帯に高齢者がいるかいないかで区分した世帯構成の実情。2018年時点では大体6割は高齢者がいない世帯。逆にいえば4割近くは高齢者がいる、あるいは高齢者だけの世帯となる。

↑ 高齢者との関係別・世帯数比率(万世帯)(2018年)
↑ 高齢者との関係別・世帯数比率(万世帯)(2018年)

高齢者がいる世帯となる赤系統色部分だけで計算し直すと、高齢単身世帯が高齢者がいる世帯全体に占める比率は28.3%。全世帯比でも11.9%と1割強となる。単身ではないが高齢者のみの世帯12.1%と合わせると、「4世帯のうち1世帯近くは高齢者のみの世帯」との計算になる(「高齢者のいるその他の世帯」とは二世代・三世代などの世帯)。

そして次に示すのは、これら高齢者のいる世帯における詳細の状況別に、それぞれどのようなスタイルの住居に住んでいるかを示したもの。特に高齢単身世帯では公開借家住まいの比率が高いのが分かる。

↑ 住宅の所有関係別世帯数構成比(高齢者のいる世帯における世帯種類別)(2018年)
↑ 住宅の所有関係別世帯数構成比(高齢者のいる世帯における世帯種類別)(2018年)

高齢者がいる世帯では夫婦世帯あるいは二世代・三世代世帯で8割台の持家率が確認できる一方、高齢者単身世帯では2/3ほどに留まっている。そして1/3強が賃貸住宅暮らし。金銭的に余裕のある高齢者自身や、その支えで持家を取得する事例が多いことがうかがえるとともに、一人暮らしの高齢者では持家住まいが案外少ない実情が確認できる。

公営借家に限定して高齢者にスポットライトを当てる形で世帯区分を見ると、世帯全体(今記事一つ目のグラフ)と比べて一人暮らしの高齢者比率が高めなのが改めて確認できる。

↑ 高齢者との関係別・世帯数比率(公営借家、万世帯)(2018年)
↑ 高齢者との関係別・世帯数比率(公営借家、万世帯)(2018年)

公営借家では5割台後半の世帯に高齢者がいて、そのうち半分以上・全体比では3割近くが高齢単身世帯。あくまでも全国における平均値だが、今回の調査結果からはそのような結果が導き出される。公営借家に多くの高齢者、そして中でも単身の高齢者が住んでいることが把握できる。

この状況は公営住宅における買物困難者や節電への対応に伴う冷暖房と高齢者の健康リスクなど、今後発生しうる高齢者問題において、少なからずの問題が公営借家で起きる可能性を示唆するものとなる。場所そのもののよし悪しとの問題ではなく、警戒あるいは状況改善施策の重点エリアとしての認識が必要だろう。


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