現金払いがまだ大半…二人以上世帯の年齢階層別電子マネー利用状況(最新)
2021/09/14 04:30
総務省統計局が2021年5月18日までに発表した【2019年全国家計構造調査】には、二人以上の世帯(住居や生計をともにしている二人以上の集合)の日常生活を金銭面から確認が可能なデータが多数盛り込まれている。今回はこの最新値や同調査の過去の値を基に、「二人以上世帯における電子マネーの利用状況」を確認する。いわば【単身世帯で電子マネーはどこまで使われているのか…単身世帯における年齢階層別電子マネーの利用状態(最新)】の二人以上世帯版である。
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今調査の調査要目は先行記事【食費の割合が減り、家賃負担が増加…一人暮らしをする若者のお金の使い道の実情(最新)】を参照のこと。
今回確認するのは、二人以上世帯(勤労者世帯以外に年金生活者世帯も含む)の消費支出(税金や社会保険料をのぞいた「世帯を維持していくために必要な支出」)における、支出=購入形態別の金額。区分としては「現金」「クレジットカード、月賦、掛け買い、電子マネー(ポストペイ)」「電子マネー(プリペイド)」の3通りがある。これらのうちどの方式でどれだけ支払ったかを確認し、電子マネーの浸透度合いを見ていくことにする。なおデータとしては前世紀末の1999年分から精査するが、2004年以前は普及状態がまだ十分でなかったことから、電子マネーは品目化されていない。
↑ 消費支出における支払い方法別金額(二人以上世帯、円)
↑ 消費支出における支払い方法別金額(二人以上世帯、比率)
消費支出全体は減少傾向にあるが、これは主に消費そのものが低水準(消費量そのものの低下、世帯構成人数の減少(子供がおらず夫婦世帯のみの場合が多い)、持家率が高いため家賃負担が少ないなど)となりがちな高齢者世帯、特に年金生活をしている世帯の全体に占める比率が増加していることによるもの。一方でクレジットカードなどの利用額は増加中。結果として消費支出に占めるクレジットカードなどの利用率は増加の傾向にある。電子マネーは2009年から値が取得されているが、金額は直近の2019年ではわずかに1万1122円。消費支出全体に占める比率は4.0%でしかない。
この「4.0%」はあくまでも世帯主年齢を問わず、二人以上世帯全体の値。単身世帯同様、世帯主の年齢が若年から中年の方が金額・割合ともに高いのでは、との推測が成り立つ。そこで世帯主の年齢階層別にその動向を確認したのが次のグラフ。
↑ 消費支出における支払い方法別金額(二人以上世帯、世帯主年齢階層別、円)(2019年)
↑ 消費支出における支払い方法別金額(二人以上世帯、世帯主年齢階層別、比率)(2019年)
金額の上では電子マネー(プリペイド)の利用金額は意外も60代が最も多く1万4036円、次いで50代の1万3965円、40代の1万1559円と続く。そして消費支出全体額に占める比率でも60代がもっとも高い値で4.8%、あとは次いで50代の4.5%、40代の4.2%。電子マネー(プリペイド)はむしろ高齢者の方がよく利用しているのが実情ではある。バスや鉄道などで多用しているのだろうか。
また単身世帯同様、高齢者はクレジットカード、月賦、掛け買いを好まないのか、現金払いの割合が高くなるのも確認できる。クレジットカード、月賦、掛け買いは30代が一番多用していることと合わせ、留意すべき傾向だろう。あるいは対象商品、サービスの傾向的に、現金以外の方法を用いる買い物をあまりしなくなるのかもしれない。
これまでの記事で何度か触れているが、二人以上世帯の家計における電子マネーの利用割合が低めに抑えられているのは、元々電子マネーは少額決済向けのツールであるのに加え(今件値はあくまでも金額であり、購入頻度や個数ではない)、利用対象サービスはプライベートな商品・サービスが多く、家計としてはカウントされにくい(個人の小遣いで購入される)のが要因だろう。
とはいえ、経年変化の動向にもある通り、少しずつ、確実に利用率は増加を示している。今後も利用率・利用金額は増えていくに違いない。
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