年収ピークは50代、では貯蓄は?…二人以上世帯の平均年収や貯蓄高(最新)

2021/09/11 04:30

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2021-0901総務省統計局は2021年5月18日までに【2019年全国家計構造調査】の主要調査結果を発表した。これは二人以上の世帯(住居や生計をともにしている二人以上の集団。勤労者世帯だけでなく、年金生活者世帯も含む)の日常生活を金銭の上から確認できる資料・データが多数盛り込まれている。今回は公開値を基に、二人以上世帯における平均年収や貯蓄高の精査を行う。要は【若者の貯蓄は男性156.6万・女性186.7万円…単身世帯の年収や貯蓄額(最新)】の二人以上世帯版である。

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今調査の調査要目は先行記事【食費の割合が減り、家賃負担が増加…一人暮らしをする若者のお金の使い道の実情(最新)】を参照のこと。

今回確認するのは、二人以上世帯における世帯主の年齢階層別の年収と貯蓄。貯蓄は貯蓄ゼロの世帯も含めた平均。お金の話は色々と(他の世帯のことが)気になる人も多いはずだ。さらにこの2つの値を基に、平均貯蓄年収比(年収何年分の貯蓄ができているか)も算出する。

↑ 貯蓄額と年収(二人以上世帯、年齢階層別、万円)(2019年)
↑ 貯蓄額と年収(二人以上世帯、年齢階層別、万円)(2019年)

年収は世帯主年齢とともに増加し、50代がピークとなる。60代に入ると早期定年退職組も含めて定年退職することもあり、また再就職を果たしても収入は以前よりも減るため、年収は減少。70歳以上は年金やその他の収入で、実額の世帯収入は世帯主年齢が29歳以下とほぼ同じとなる。

貯蓄額が年収を超えるのは、世帯主の年齢が40代に入ってから。50代に入ると貯蓄額は大きな伸びを見せる。これは一つに「住宅ローンの支払いで貯蓄がしにくい」、もう一つは「50代以降は退職金で収入が大きく上乗せされる」のが要因。もっとも高齢の世帯主がいる世帯においては、年収が若年世帯と比べると減少しているのも貯蓄年収比が大きく跳ね上がる一因となっているのは否めない。

また単身世帯と比べると、年収は単身世帯の方が少ないのも一因だが、貯蓄年収比が低めなのが見て取れる。

↑ 貯蓄額と年収(単身世帯、男性、年齢階層別、万円)(2019年)(再録)
↑ 貯蓄額と年収(単身世帯、男性、年齢階層別、万円)(2019年)(再録)

今件の2019年分以外に、1984年以降5年おきの「全国消費実態調査」における調査結果も取得可能な状態にある。そこで世帯主の年齢階層別に貯蓄年収比を計算し、その推移をグラフにまとめたのが次の図。

↑ 貯蓄年収比(二人以上世帯、年齢階層別)
↑ 貯蓄年収比(二人以上世帯、年齢階層別)

年間収入は1999年以降額面上は漸減しているものの、その減少率よりも貯蓄額減少率が低いため、結果的に貯蓄年収比は横ばい、あるいはやや増加とのトレンドが最近の動向。しかし良く見ると、

・40代までは横ばい、あるいは漸減

・50代以降は漸増(一部横ばい)

・1984年から1989年にかけては大きな伸び、特に50代以上は著しい増加

が確認できる。上二つは世代間の収入格差と若年層までにおける住宅取得の積極化(持家は貯蓄にはならない)、そして最後の一つはバブル時代における収入(特に退職金)の増加が要因。とりわけバブル時代では(詳しくは別記事で触れるが)住宅・土地のための負債額も100万円単位で増加しており、住宅購入者が増加したのとともに、住宅市場の相場が跳ね上がったことが分かる。つくづく1980年代のバブル時代のすさまじさを再確認できる次第である。


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