やはり食料はスーパーが頼り……二人以上世帯の食品・教養娯楽品購入先の実情(最新)

2021/09/07 04:30

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2021-0831総務省統計局は2021年5月18日までに、【2019年全国家計構造調査】の主要調査結果を発表した。二人以上の世帯(住居や生計をともにしている二人以上の集まり)の日常生活を金銭面から推し量れる、貴重な資料・データが多数盛り込まれている。今回はその公開値の中から、日常生活で買われる数々の商品の中のうち「食料」「教養娯楽費」の2項目にスポットライトを当てる。二人以上世帯がどのタイプの店でこれらの商品を調達しているかに関して、金額ベースで世帯主の世代別の動向を探ることになる。要は【単身生活の食生活は世代を超えてスーパーが頼り…単身世帯の食品・教養娯楽品購入先の実情(最新)】の二人以上世帯版である。

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今調査の調査要目は先行記事【食費の割合が減り、家賃負担が増加…一人暮らしをする若者のお金の使い道の実情(最新)】を参照のこと。

今回確認するのは、消費支出(税金や社会保険料(=非消費支出)をのぞいた「世帯を維持していくために必要な支出」)のうち「食料(=食品)」「教養娯楽」の2項目に関して、どのタイプの店でどれだけの額を支払いしているかについて。例えば食料で世帯主年齢が29歳以下を見るとスーパーは67.5%となっている。これは平均的な世帯主29歳以下の二人以上世帯(勤労者世帯以外に年金生活者も含む。もっとも30歳未満で年金生活は有り得ないが)において、1か月に1万円食料品を購入する場合、そのうち6570円はスーパーで調達していることを意味している。また購入先区分のうち百貨店は【百貨店 衣料品客離れていく 行き着く先はモールとネットに】の文末で説明している通り、事実上デパートと同じもの。

また【「高齢単身者のコンビニ離れ」…一人暮らしでの買物先の実情(最新)】で詳細の説明をしている通り、不自然な額が「その他」に割り振られていることから、今回は「その他」を除いて計算をし直している。

まずは食料。

↑ 消費支出金額購入先割合(二人以上世帯、食料、「その他」除外、男女別・年齢階層別)(2019年)
↑ 消費支出金額購入先割合(二人以上世帯、食料、「その他」除外、男女別・年齢階層別)(2019年)

すべての年齢階層でスーパーが6割台と最大値を占めている。注目すべきは年齢階層別で違いがほとんど見られないこと。単身世帯では「年齢が上がるほど増加する傾向」だったのが、二人以上世帯では「どの年齢階層でも同じぐらい」となっている。

その他主な動きをまとめると、

・一般小売店は30代が多用する傾向。その分、スーパーの値がやや少なめになっている。

・コンビニや量販店の値はおおよそ若年層の方が高い。しかしそれでもほとんど1割に届かない(29歳以下のコンビニがかろうじて10.2%と1割超え)。

・百貨店の値は高齢世帯の方が高い。デパ地下の食品街をよく使っているのだろうか。

・通販はネット、ネット以外ともに低調。

といった具合。高齢世帯ほど百貨店のような、比較的古い販売スタイルの購入先割合が高くなるのは、やはり「昔からの馴染み」を使い続けているからだろうか。また、他の買い物と合わせ一か所でまとめて済ませられる利便性も影響しているのかもしれない(食品スーパーで石けんや歯みがき粉は手に入らない。コンビニでは多様な商品があるが、個々種類の品揃えは中途半端で価格も高い)。全般的に単身世帯と比べて「コンビニ」での購入割合が低いのは、まとまった量を購入するのには(量的だけでなく金額的にも)不向きなことが理由として考えられる。

続いて教養娯楽。区分を解説する区分を解説する【支出分類】によれば、家電製品やゲーム・音楽関連、ペット関連な、書籍や新聞などの紙媒体、各種通信費などが該当する。

↑ 消費支出金額購入先割合(二人以上世帯、教養娯楽、「その他」除外、男女別・年齢階層別)(2019年)
↑ 消費支出金額購入先割合(二人以上世帯、教養娯楽、「その他」除外、男女別・年齢階層別)(2019年)

食品ではスーパーがすべての年齢階層で最大値を見せていたが、教養娯楽では一般小売店がトップで量販店が続く形となっている。世帯主年齢階層別に見ると大体次のような傾向が確認できる。

・世帯主の年齢の上昇とともに一般小売店の利用割合が増加。馴染みの店での購入率が上がるのか。

・スーパーは世帯主の年齢とともに値が増加。

・百貨店は世帯主の年齢とともに割合がおおよそ減っていく。

・ネット通販は単身世帯と比べて少なく、最大値を示す29代歳以下でも2割強。

・ネット以外の通販や生協・購買は若年層世帯ではほとんど利用されていないが、高齢層世帯ではそれなりの実績が出ている。

量販店がスーパー以上に健闘しているのは、ペットフードや玩具などがよく購入されていることに加え、スーパーや一般小売店よりもまとめ買いされる傾向が強く、金額も跳ね上がるため。今調査では購入頻度や個数までは調査されておらず、購入時のスタイルまでは分からない(100円の商品を100個まとめて購入、10000円のを1つ、1000円の商品を1回につき1個で10回に分けて購入、いずれも支出金額は10000円のため、値は同じとなる)。ディスカウントストアや量販店での買い物は多分にまとめ買いのため、実際には来店回数はスーパーなどと比べて少なくとも、値は上になることは容易に想像できる。

ネット通販の割合が単身世帯と比べて随分と低いのも気になるところ。しかし今件は「世帯全体のためのの買物」であり「世帯構成員個人のプライベートな買物」ではないことを思い返せば、個人の趣味的アイテムの購入が難しい、ネット通販が使いにくいとの理由が多分に考えられる。それでも20代では2割強、30-40代では1割強がネット経由の通販で購入されているのは、注目すべき値には違いない。



単身世帯では「食料はスーパー」「教養娯楽品は一般小売店やディスカウントストア」とのパターンだった。一方二人以上世帯になると「食品は(単身世帯以上に)スーパー」「教養娯楽品は一般小売店や(単身世帯以上に)量販店」と、単身世帯以上に特定ルートへの傾注化が確認できる。また多分に個人向けではなく、世帯全体向けの買い物が前提となるため、買い物時の思惑が単身世帯とは多少異なる方向性を見せているのも興味深い。

単身世帯・二人以上世帯双方を見渡すと、いずれの世帯構成でも「食品」部門においてほぼすべての区分で「スーパー」が、過半数の割合を占めているのが再確認できる。「スーパー」の重要性、世帯を支える存在感を改めて理解できよう。


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