食品で「放射性物質による汚染」を気にしている主婦は7割近く
2011/10/18 06:39
パルシステム生活共同組合連合会は2011年10月11日、家族の食卓に関する調査結果を発表した。それによると主婦から構成される調査母体において、放射性物質による食材の汚染を気にしている主婦は7割近くに達していることが分かった。具体的な食材種類としては野菜(葉物)がもっとも同意率が高く、全体の5割を超えている。次いで魚類、牛肉、お米と続いており、主に報道で話題として登ることの多い食材に、懸念が集まるようだ(【発表リリース】)。
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今調査は2011年9月14日から21日にかけて、携帯電話利用によるインターネット経由で20-59歳の主婦に対して行われたもので、有効回答数は1000人。年齢階層は20代・30代・40代・50代で均等割り当て。6歳以下の未就学児童がいる人は279人、小学生の子供がいる人は230人、中学生以上の子供がいる人は476人。調査機関はネットエイジア。
【2011年8月度のチェーンストアの売上高、前年同月比マイナス2.2%】をはじめここ数か月に渡りチェーンストアの売上高月次報告など、複数の食料品系のデータで、震災、具体的には原発事故に絡んだ影響が影を落としているのが確認できる。厳しいレベルであっても早期に国が統一見解・統一姿勢を提示して施策を判断・断行し、地方公共団体もそれに従っていればまだ混乱は抑えられたのだが、現状は必ずしも良い方向にあるとはいえない。結果として消費者の混乱が増すばかりな状態とも表現できる。
今件調査母体でも、放射性物質による食材の汚染を気にしない主婦は3割強でしかなく、残り7割近くは何らかの食材において、気になるところがあるとしている。
↑ 放射性物質による汚染を気にしている食材(複数回答)
最上位には「野菜(葉物)」。唯一この品目が過半数を超えた回答率となった。次いで「魚類」「牛肉」「お米」までが4割超で、以後「野菜(根菜類)」「貝類」「野菜(実)」と続く。
上位に挙がる品目には先のチェーンストアの売上高レポートでも「不調」が続くものがいくつもあり、やはり消費者の購入性向に少なからぬ影響が生じていることがうかがえる。一方で冒頭でも触れているが、報道でよく取り上げられる食材が上位にくる傾向があり、移行係数(土壌の放射性物質の該当植物への移行度合い)が高いにも関わらず、順位が下の品目があるのが気になるところ。「報じられる頻度が高い」=「リスクが高い」とは限らないことに留意をしておかねばならない。
また移行係数が高い食材でも、しっかりと調査をして選別された上で、店頭に並んでいれば問題は無い。しかしながら同調査別項目の回答にもあるように(詳しくは後日解説)、調査内容をフルに信じきれる状況でないのが、今件項目の結果のような「気にしている食材」が多数存在する理由となる。
数年前のいわゆる「中国餃子問題」同様、結局は「判断を下すべき立ち位置にある人達が、自らの職務として与えられた権限と責任のもと、厳格な決断を下せるか」「正しい情報が提示されるか」「消費者が選択できる余地があるか」が大きなカギとなる。今件数字を見る限り、残念ながらいずれも満足した状況にはないようだ。
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