年金・育児などの社会保障の情報、情報収集のこれまでとこれから
2011/10/14 06:28
厚生労働省は2011年8月23日、社会保障に関するアンケートの調査結果を発表した。「2011年版厚生労働白書」の資料素材として用いるデータ収集の一環で、先日【5割強は「負担増でも社会保障維持拡大」、「負担維持で保証引き下げ容認」は2割】などで伝えた同省発表による「2009年時点での社会保障における公的・私的サービスに関する意識調査」と類するテーマを対象にしている。今回はこの調査結果の中から、「社会保障(医療や健康保険、年金、介護、妊娠・出産・育児支援、雇用などで受けられるサービス)の知識を得るために、これまでどのような手段を使っていたかと、これからどのような手段を使いたいかの比較」について確認していくことにする(【発表リリース】)。
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今調査は2011年2月10日から2月22日かけて居住地・年齢・性別による構成比に応じて2300人を無作為抽出し、郵送配布・郵送回収によって実施したもので、有効回答数は1342票。男女比は46対54、年齢階層比は20代146人・30代217人・40代230人・50代234人・60代297人・70代218人。
各種社会保障の内容を知るには、何らかの形で情報を取得しなければならない。逆に行政機関側からすれば、いかに多くの人に適切に情報を知ってもらうかがポイントとなる。今件は情報の受け手側から、「これまで社会保障の知識を得る際に、どのようなツールを使っていたか」そして「これからどのようなツールを使いたいか」について聞いたもの。後者については詳細を以前【年金や育児の情報、何を使って調べたい?】で紹介しているので、そちらも参考にしてほしい。
↑ これまで社会保障の知識を得た手段と今後使いたい手段の比較
これまで主に使われてきた手段としては「新聞」「テレビ・ラジオ」の主要4マスのうち「書籍・雑誌」以外、そして「家族・知人」すなわち「口コミ」。しかし今後となると、4マス中「新聞」「テレビ・ラジオ」は相変わらず高めなものの、「公的機関などへの連絡・問合せ」や「インターネット」が大きく増加、「家族・知人」や「勤務先・学校」などの激減が確認できる。
前者のうち「インターネット」は携帯電話経由も含めたインターネットサービスの普及によるところが大きく、官公庁側でも積極的な情報開示を実施しているのが後押しとなっている。一方後者減退分のうち、「勤務先・学校」が大きく減っているのは、回答母体(≒社会全体)で高齢者、つまり学校や勤務先などに足を運ぶ機会が無くなる人が増えることを起因とする(これらの場所でのコミュニケーションエリアとしての、価値観の低下も否めないが)。
今後社会保障関連の情報を公知する際は、世代別などの事情(例えばシニア向けの情報は新聞やテレビラジオに注力、若年層はインターネットや学校・勤務先)に配慮しながらも、全般的には社会一般のメディアの流れにほぼ準ずる、上記グラフの動向に即した注力が求められよう。限られたリソースの中で、一人でも多くの人に、有益に活用してもらえる情報を伝えるのもまた、公的機関の責務なのだから。
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