飲酒運転を防止するビール会社のゲームアプリ
2011/10/12 12:10
面積の大きなタッチパネル方式の画面、GPSの採用、マップデータとのリンク。スマートフォンで導入された、あるいは大いに性能アップした機能だが、これらの連携で利用者の現在位置と連動する形で、多種多様なサービスがアプリケーションとして提供されるようになった。今回紹介するのもその一つで、緑のシンボルカラーと、赤地に白抜きのカギ付き紋章ロゴが特徴的なドイツのビールメーカー「BECK'S」が提供する、飲酒運転を防止するためのiOS・Android向けアプリケーションである(【Ads of the World】)。
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Beck's: Sobriety Test Mobile App。
これはセルビアで「BECK'S」によって展開されたプロモーションの一環で、ゲーム性のあるアプリとGPS、タクシー会社の配車データとのリンクを上手く採り込んだ、飲酒運転防止用のアプリ。ビールを提供する「BECK'S」では当然、利用者に飲酒運転を避けて欲しい。そこで「これくらいの酔いなら運転など問題ない」と気が大きくなりがちなドライバーの挑戦心をくすぐる形で、今件アプリを提供した。
コンセプトとしては「『酔い』と『カギ』の関連性で皆に良く知られているのは2つ」「一つは酔っているとなかなかカギを自動車のカギ穴に納めにくいもの」「そしてもう一つはBECK'Sのロゴに使われている」。そこで「酔いのチェックにこの二つを兼ね合わせたアプリを提供してみてはどうか」というもの。
↑ 「BECK'S」のロゴにもカギが使われている
具体的には今件アプリをダウンロードして起動すると、スマートフォンのGPSによって現在位置が測定され、適切な場所にいるタクシーが選択できる。タクシーを選択したら、ゲームスタート。あちこちに動き回るBECK'Sの紋章部分(ベース部分)に上手く合わさるよう、カギマークをタッチパネルを指で押さえて移動させていく。
↑ 移動するベース部分に合わせるように、カギを誘導していく
25秒間うまく合わせ続けたらゲームはクリア。自動車運転の上で問題となるほど酔ってはいないことになる。しかし失敗すると、アプリは自動的に先ほど選択したタクシーに電話をかけ、プレイヤーにタクシーに乗車するよう誘導する次第。
↑ ゲームに失敗=酔っていると判定されると、自動的にもよりのタクシーへの通話モードへ
酔っている人がこのアプリを起動させなければ、何の役にも立たないのが弱点。しかし酔っている人ほど「自分は酔っていない」と自負し、それを自他共に認めるべく、色々な行動を取るもの。今件アプリもまた「自分自身に『酔っていない!』と強がる泥酔者の心理」をうまくついたものといえる。
当然日本ではこのアプリのコンセプトはそのままでは通用しない(アプリのゲームをクリアしても、日本の法令上、違法な飲酒運転として判断されるアルコール摂取をしている可能性は多分にある)。酔っている人の行動傾向と心理を巧みについた、面白い発想のアプリとして認識しておきたいところだ。
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