お医者による「たばこの適正価格」は?
2011/10/03 12:10
ケアネットは2011年9月30日、医師に対するタバコ・喫煙に関する調査結果を発表した。それによると「たばこの一箱あたりの適正価格」という設問に対して、調査母体の医師のうち現在喫煙していない人においては、平均で約1000円と回答していることが分かった。一方現在喫煙している人では半数近くが現状価格の維持を望み、平均では約600円という結果が出ている(【ケアネット公式サイト】)。
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今調査は2011年9月21日から28日にかけて、同社の医師・医療従事者向け専門サイト「CareNet.com」医師会員に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は4000人。なお今調査母体の医師においては、調査時点で喫煙をしている人は9%である。
↑ 回答医師の喫煙状況(再録)
さて、現在の平均的なたばこの価格は1箱400-410円。これに対して各種財源や健康の観点から、去年の秋口に続き再び値上げ(増税)をすべきであるという声が上がっている。
そこで「たばこ一箱あたり、いくら位が適正価格なのか」を尋ねたところ、喫煙者では48%が「現行維持」と回答したのに対し、非喫煙者では52%が1000円台(1000円-1099円)と答えており、対象的な結果となった。
↑ 医師による「たばこ一箱あたりの適正価格」
↑ 医師による「たばこ一箱あたりの適正価格」(概算平均値、円)
「概算平均値」は各項目の中央値から当方で算出したもの。非喫煙者は1025円、喫煙者は607円という結果が出た。
日本禁煙学会ではたばこの価格を1000円にするようにとの要望が行われており(【発表リリース】)、これに準じた回答を示す医師の非喫煙者が過半数に達していることになる。喫煙中の医師も見方を変えれば52%が「値上げすべし・やむなし」という意見を寄せていることになる。奇しくも非喫煙者の概算平均値は、この1000円にほぼ一致している。一方、喫煙中の医師は平均値が607円。現行価格に百円玉2枚を積み増すあたりが適正価格と考えていることになる(なお選択肢には「現行より下げる」は無い。非現実的だからである)。
適正価格に関する具体的な意見は資料内でいくつか確認できるが、主要要件としては「たばこ税の税収云々よりも、むしろ禁煙者増加で中長期的な医療費削減につながる」「若年層が興味本位で手を出しにくい価格にすることが必要」あたりにまとめることができる。その一方、「喫煙による健康被害により健康保険などの公的資金を使用するので、(喫煙者が)対価を払うのは当然」「健康障害による医療費増は喫煙者自らが負担するべき」という意見も多く、色々と考えさせられるところはある。
ともあれ、医者の立場による「たばこの適正価格」に関する意見として、「喫煙医師…約600円」「非喫煙医師…約1000円」は十分留意しておくべき値には違いない。
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