静音性は10倍以上…あの「BigDog」を超えた「AlphaDog」登場

2011/10/02 06:46

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AlphaDog先日【「実用」演習風景も? ロボットらば「BigDog」最新映像到着】で、軍事用の技術の収斂と開発を幅広い分野で行うDARPA(国防高等研究計画局:Defense Advanced Research Projects Agency)の支援を受け、【BostonDynamics】が開発している、アメリカの軍事目的用輸送四足走行ロボット「BigDog」の最新情報をお伝えした。前回の情報公開から1年以上も経過した上での新情報提供だが、性能的に特に目新しいものは見当たらず、「なぜこの時期に」という疑問もあった。その謎の一部が先日BostonDynamics社から新たに公開された映像で判明した。「BigDog」の兄貴分的存在とも定義づけることができ、同社では「LS3(Legged Squad Support Systems)」と呼ばれているプロジェクトによる試作品と想定される「AlphaDog」の様相が明らかになったのである。見た目は「BigDog」と似ているが静音性に優れているのが特徴で、BostonDynamics社による動画コメントでは「BigDogの10倍以上も静か」と説明されている。



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↑ 2011年9月29日付で公開された映像。
↑ 2011年9月29日付で公開された映像。

今回公開された映像は「AlphaDog Proto」とあり、「AlphaDog」のプロトタイプであることを示している。このタイプの機種の公開は今回が初めてで、終始研究室内でクレーンによってぶら下がった状態のみが映し出されている(安定性以外に、電源供給周りがまだ未完成なのも一因らしい)。自律走行は「現在公開されている範囲では」まだ無いが、当然(Big Dog同様)それが開発上、進むべき道となる。

動画コメントから性能を読み説くと、歩兵分隊(数人-十数人程度の歩兵の区分)の支援システムとして開発されたもので、開発経緯は「BigDog」と同じ。積載量は400ポンド(181キログラム)、航続距離は荒れ地でも20マイル(32.2キロメートル)ほどを維持。GPSや各種コンピュータを内蔵し、2012年に試作第一号機が完成予定との事。

動画では「より詳しい内容はBostonDynamicsのウェブサイトにて」とあるが、同社サイト内には「AlphaDog」の記述は無い(BigDogは有る)。ただしスペック的には【LS3 - Legged Squad Support Systems】に近しいものがあり、これ自身、あるいはそのプロトタイプ的な存在と考えられる(各種スペックや公開予定時期だけでなく、DARPAに加えて米海兵隊からの資金援助で開発中という点でも一致している)。それが正しいとすれば、連続稼働時間は24時間とのこと。

四脚走行で荒れ地を乗り越えたり、横からの衝撃でも姿勢を崩さずに維持したり、果ては倒れても再び自立するタフネスなところは「BigDog」と何ら変わりない(というより、「BigDog」は技術取得用の開発機としての意味合いもあるのだろう)。



↑ タフさはBigDog同様
↑ タフさはBigDog同様

「AlphaDog」最大の特性は冒頭でも触れた通り、その静音性にある。同社コメントでは「BigDogの10倍以上は静かに行動できる(AlphaDog is designed to be over 10x quieter than BigDog)」と説明されている。この性能が実現化されれば、先に「BigDog」で指摘した運用上の問題点「静音性、耐久度、燃料、コストパフォーマンス」のうち、「静音性」(静穏性)がクリアされたことになる。開発資金の援助に(上陸作戦をはじめとした特殊任務に携わることが多い)海兵隊も加わっているのも十分納得がいく。

「BigDog」の事例にもあるように今後試作第一号機の完成に向け、「AlphaDog」もいくつかの(公開しても問題の無い範囲での)開発進展状況が、映像と共に伝えられるはず。見た目に大きな変化は無いだろうが、どこまで静かさを体現できるのか、非常に気になるところだ。


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