節電の夏、料理スタイルも変わる夏
2011/09/29 06:50
電通総研は2011年9月28日、今夏の節電と食品の調理の変化に関する調査結果を発表した。それによれば調査母体のうち料理を普段から行い、夏の節電で料理のスタイルに変化があった人は3割近くに達していたことが分かった。もっとも多かった変化は「短時間で料理」、次いで「食材を残さず使い切り」「手間をかけずに」が続いており、単なる節電に留まらず、節約志向も多分に反映されていることがうかがえる(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は2011年9月3日から4日にかけて学生をのぞく20-69歳の男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1200人。男女比は589対611、未既婚区分は男性が未婚230人・既婚359人、女性が未婚150人・女性461人。
今夏は節電が大いに啓蒙された事情もあり、料理の上でも少なからぬ変化が生じている。例えば小売業のうちコンビニやデパートでは、惣菜の売れ行きが伸び、手間暇時間をかけずに調理できる食材も人気を集めた。今調査母体でも料理をする人の4割近く、全体では3割近くの人が「節電により料理のスタイルに何らかの変化が生じた」と回答している。
↑ 料理のする・しないと、今夏の節電における料理上の変化の関係
この「料理をする」&「節電で変化があった」人に、具体的な変化の様子を聞いたのが次のグラフだが、もっとも多くの人が回答した項目は「短時間で料理」の65.7%だった。
↑ 夏期において節電で料理上どのような変化があったか(料理をする人のうち、変化した人・全体の28.9%が対象)(複数回答、回答率1割超+αのみ)
上位項目の内容を見ると、電気だけでなくガスも含めた、「料理に用いるエネルギーを省く工夫」と、「食材を無駄にしない工夫」の2つのカテゴリに集約されるのが分かる。後者は節電よりもむしろ節約に近いが、調理する際に用いたエネルギーを無駄にしないという点では、やはり節電とも関連すると考えてよいだろう。
以前【「効果的な節電方法が分からない家電がある」は3割、具体的には電子レンジが一番】で取り上げた、「電気をかなり消費するのは分かっているが、具体的な節電方法が分からない」調理器具のトップについた電子レンジ周りでは、「極力電子レンジなどを使わない」が15.9%で、さほど高くない。もっとも電子レンジを多用する調理スタイルの人なら、例えば「短時間で料理」も間接的に「電子レンジの利用時間を減らす」ことにもつながるため、一概に「電子レンジ周りはあまり節電では行われていない」とも言い切れない。
料理のカテゴリ別にみると、調理時間が長い≒電力を使うというよりは、「冷房の節約」「食する環境も暑い」「食事も熱いモノは避けて、食から涼をとろう」という考えからか、揚げ物が減り、麺もの(そうめん、ひやむぎ)が増えている(今件は「元々」多い少ないではなく、「例年の夏と比べて」増えたか減ったを示す指数であることに注意)。
↑ 例年の夏に比べて食卓にのぼる回数に増減があったメニュー(カテゴリ別、「増えたメニュー」比率-「減ったメニュー」比率)(料理をする人のうち、変化があった人・全体の28.9%が対象)
また、上記の調理方法の上位にも確認できる、「まとめて作れる」「作り置きができる」などの「ご飯もの」、熱源を使わずに料理が可能な「酢の物」「あえもの」なども(冷たい料理であることも合わせ)上位についているのが分かる。
今回取り上げられた「節電思考」とされる手法においては、料理のスタイルや選択の中には「節電かもしれないが、省エネ・省資源・節約志向とは言い難い」ものもある。エネルギー周りの環境が変化すれば、それに伴い料理のスタイルも再び変化を遂げることだろう。
一方で、今冬も今夏同様に、電力周りには十分以上な配慮を求められることは容易に想像ができる。今度は「暖をとる」ことを中心とした変化が見受けられるに違いない。
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