時代の流れと共に失われる「正しいニュースのあり方」…米でのニュースへの信頼性など
2011/09/30 06:50
アメリカの大手調査機関【Pew Reserch Center】は2011年9月22日同社公式サイトにおいて、ニュースメディアとその利用者の動向に関するレポート【Press Widely Criticized, But Trusted More than Other Sources of Information…Views of the News Media: 1985-2011】を公開した。最新、及び中長期的に渡る、同国でのニュースメディアと利用者の関係、利用者のニュースへの信頼感の変移が多数示されており、興味深い内容となっている。今回はその中から、ニュース・発表への全般的な信頼性について、先の【「事実を伝えている」は25%のみ・アメリカでのニュースへの信頼性】で取り上げた項目などを、経年データの上から詳しく取り上げてみることにする。
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今調査の調査要目などは先行する記事「「事実を伝えている」は25%のみ・アメリカでのニュースへの信頼性」で解説している。詳しくはそちらを参考のこと。その記事でも伝えたように、アメリカにおけるニュース(メディア、報道)に対する信頼性は低い。2/3は「しばしば不正確に伝えてしまっている」と答えている。
↑ ニュースに対する信頼性(米)(再録)
これをもう少し詳しく、つまり「正確性・真実味」「独立性」「中立性」の三つの視点に分け、さらに経年別(一部は未調査のため抜けている項目もある)にその変化を見たのが、次の3つのグラフ。
↑ ニュースの正確性・真実味
↑ ニュースの独立性
↑ ニュースの中立性
「正確性・真実味」「独立性」「中立性」、いずれも公明正大を語るメディア・報道・ニュース組織なら欠かせない要素だが、多少のデコボコはあるものの、ものの見事に全項目において、劣化が数字の上で発生している。あくまでも回答者による主観的な結果であり、第三者的な計測数字(例えば誤報回数をカウントしているなど)によるものではないが、劣化が進んでいることが確認される。
大きな動きとしては2005年周りから「劣化」が加速しているように見える。この時期はインターネット、そしてモバイル端末が加速度的に普及しはじめた頃でもあり、いわゆる「21世紀の情報革命」が変移における何らかの要素となったことは間違いない(「劣化」を加速させたのか、今まで隠されていたものが暴露されるようになったのか、その両方なのかまでは判断ができない)。
一方でそれ以前からも継続的な「劣化」の傾向が認められる。インターネットの普及は一つの要素でしか無く、元々中長期的にメディア・報道・ニュース組織は「劣化」しつつあると読みとることが出来る。
資料では2007年あたりから「劣化」が加速したことには触れているが、その理由などの分析は一切ない。しかしこの時期は日本でも広告メディア周りで大きな動きが確認できており、国を問わず「情報」を取り巻くさまざまな方面で大きな動きが起きた、あるいは加速したことは間違いあるまい。
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