「今重要なのは年金と介護問題」「失業対策は若年層のみ問題視」…世代別の「重要と考える社会保障制度」
2011/10/02 06:42
厚生労働省は2011年8月25日、2009年時点での社会保障における公的・私的サービスに関する意識調査結果を発表した。保育サービスや少子化・子育て、個人年金、民間の医療保険、社会保障の希望など、社会全体が注目している社会保障の現状に関する意見が集約された内容で、各種要件が具体的数字で示された貴重な資料といえる。今回はその中から「どのような分野の社会保障が重要か」という認識に着目してみる(【発表リリース】)。
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今調査は2009年7月16日に実施されたもので、調査方法は「調査員が配布した調査票に、調査対象となった世帯員(20歳以上の「一人ひとり」に配布。例えば子供無しの夫婦ともに20歳以上なら2枚)が自ら記入し、後日調査員が回収する」留置自計方式。集計客対数は1万0645人。
以前【2割は「負担増でも大幅充実」・5割は「負担考慮しつつも充実」…少子化対策・子育て支援をどうすべき?】で触れたように、少子化対策・子育て支援については約2割が大幅拡充を望み、5割強は拡充を支持と積極的な動きを期待する意見が多い一方、歳が上がるにつれて消極的な姿勢を見せる流れも確認できる。
↑ 年齢階級別にみた少子化対策(子育て支援)のあり方(再録)
この少子化対策・子育て支援も含め、社会保障においてどの分野が重要なのか、複数回答(3つまで)で聞いた結果が次のグラフ。最大値を示したのは「年金・老後所得保障」で74.2%。約3/4が年金問題を重要課題だと認識している。
↑ 現在重要と考える社会保障分野(複数回答)(その他、不詳は除く)
次いで多いのは「老人医療・介護」の問題。少子高齢化が進むに連れて、トップの「年金・老後所得保障」同様避けては通れない問題。だからこそ重要だという認識も理解できる。先に挙げた「少子化対策・子育て支援」は第4
位に留まっている。
これを回答者の世代別に見ると、自らの立ち位置にあった動きが確認できる。
↑ 現在重要と考える社会保障分野(複数回答)(その他、不詳は除く)(世代別)
「年金・老後所得保障」「老人医療・介護」は高齢者ほど強い認識を持ち、「少子化対策・子育て支援」は若年層、特に30代の多くが重要だと考えている。自分が今現在感じている不満点だからこそ、あるいは充実してほしい部分だからこそ、「大切な社会保障分野だ」と考えている。現場の声とも利己主義とも解釈は分かれるが、共通の問題認識とは別に、自分自身にプラスとなる分野への改善を求めるのは、当然の流れといえる(誰だって自分のお皿には大きく切り分けたケーキをのせてほしいものだ)。
一つ気になるのは、一番右、「雇用確保や失業対策」。若年層の改善要求意識が強いものの、シニア層の関心度は極めて低い。この層は年金生活者が多数を占め、(生活の糧を得るための)雇用周りは心配要らない、優先順位が低いことが起因。これが世論形成や政策決定の上で、どのような影響をもたらしているのかを考えると、不安視せざるを得ないのは当方だけではあるまい。
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