「社会の負担」と「公的年金の意義」のバランス…公的年金の望まれる姿
2011/10/01 07:03


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今調査は2009年7月16日に実施されたもので、調査方法は「調査員が配布した調査票に、調査対象となった世帯員(20歳以上の「一人ひとり」に配布。例えば子供無しの夫婦ともに20歳以上なら2枚)が自ら記入し、後日調査員が回収する」留置自計方式。集計客対数は1万0645人。
同調査別項目での回答として、老後の生計を支えるのに一番頼りとしたいもの・現実にしているものとしては、若年層は「就労収益」と「公的年金」が半々、シニア層は「公的年金」が大半という結果が出ている。

↑ 老後の生計を支える手段として一番目に頼りにするもの・しているもの(再録)
他方現実問題として、日本では今後少子化・高齢化が進み、公的年金制度では「支払う人が減り」「もらう人が増える」状況が加速化していくのは明らか(【50年前16.5人、今3.5人・高齢化社会を表す一つの数値】)。そこでどうしてもリバランスが必要となる。その判断について尋ねたのが、今回スポットライトを当てた設問。
要は「年金制度を支える側(若年層)と支えられる側(高齢者)とのバランスをどのように維持していくか」というものだが、全体では「公的年金のみで老後が生活できるように、社会の負担を増やすべき」と「公的年金をメインとしつつ、個人年金など自己責任の部分も合わせて老後の生活ができるようにすべき」が半々くらいの同意率を示す結果となった。「公的年金は副次的。自らの備えをメインとすべき」はごく少数でしかない。

↑ 今後における、老後の生活を支える年金給付金のありかたについて
当然といえばそれまでだが、若年層ほど「公的年金は基本。でも自己責任部分も必要」の回答率が高く、「社会負担を大きくしても、公的年金だけで生活できるように」は低い。これが50代以降になると両者比率が逆転し、60代以降は「(意訳すると)社会負担増でも良いので公的年金(給付金)を増やせ」という声が高まりを見せる。支払う立場からもらう立場になるに連れ、もらう立場の優位性を強く求めるあたりは言葉通り「現金な話」といえる。
もっとも年金世代でも1/3強は、現状の「公的年金は基本。でも自己責任部分も必要」を支持する人がいる。もらえるお金は多いに越したことはないが、現実問題として「公的年金だけで暮らしていけるほどの年金給付金を求めるのは無理」と自認しているのだろう。ちなみに【年金生活をしているお年寄り世帯のお金のやりくり】などから概算すると、貯蓄切り崩し分を補完すれば良いのだから、現在の給付金に15-20%上乗せできれば条件は満たせることになる。

↑ 高齢者世帯の家計収支(再録)
もっとも人間の「さが」として、公的な給付金が増えてもそれだけで満足することはなく、さらに生活の上で高みを望むもの。仮に2割の上乗せがなされたとしても、同程度の不足を覚えるようになり、結局「公的年金だけで十分な生活」という状況は「手に届かない理想の世界」の話なのかもしれない。
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