「自分の稼ぎ」か「公的年金」か…老後の生活手段として一番頼りにしたいもの、しているもの
2011/09/30 06:49
厚生労働省は2011年8月25日、2009年時点での社会保障における公的・私的サービスに関する意識調査結果を発表した。保育サービスや少子化・子育て、個人年金、民間の医療保険、社会保障の希望など、社会全体が注目している社会保障の意見の現状が集約された内容で、各種要件が具体的数字で示された貴重な資料といえる。今回はその中から「老後の生計を支える、一番頼りにしているもの・したいもの」に着目してみる(【発表リリース】)。
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今調査は2009年7月16日に実施されたもので、調査方法は「調査員が配布した調査票に、調査対象となった世帯員(20歳以上の「一人ひとり」に配布。例えば子供無しの夫婦ともに20歳以上なら2枚)が自ら記入し、後日調査員が回収する」留置自計方式。集計客対数は1万0645人。
先に【年金制度の加入状況】などで記したが、公的年金制度以外に個人年金などに入っている人は約16%。その理由は「公的年金制度では不安(制度の存続・額)」が主なものだった。
↑ 年金制度の加入状況(複数回答)(再録)
↑ 個人年金加入の理由(複数回答、個人年金加入者限定)(再録)
この「不安」は個人年金に加入して「いない」人でも多かれ少なかれ抱いているものと考えてよい。それでは実際問題として、老後の生計を支える手段として、何を(金銭的に)頼りにしていけばよいと考えているのだろうか。あるいはすでに定年退職の年齢に達した人は、現実問題として頼りにしているのだろうか。世代別に確認した結果が次のグラフ。
↑ 老後の生計を支える手段として一番目に頼りにするもの・しているもの
若年層は「歳を取っても働いて、その就労収入をメインとしよう」と考えている人が多く、3割前後に達している。「公的年金」は4-5割程度しかおらず、あまり当てにしていないことが分かる。【若者「そのもの」シニアは「額が」・個人年金加入理由に見る年金制度への不安点】で指摘しているように、若年層は公的年金制度の存続そのものに疑問を抱いているため。
これが中堅層になると次第に「就労収益」、さらには「貯金・退職金取り崩し」が減り、「公的年金」の比率が増えてくる。そして実際に老後に達した人達の意見は3/4以上が「公的年金」であり、「就労収益」は1割にも満たず、現実が厳しい状態にあることが分かる。【年金生活をしているお年寄り世帯のお金のやりくり】でも示しているが、平均的な高齢者世帯の家計収支は「年金メインで、不足分を貯金などから切り崩し」となっており、今回の結果はその現実を再確認した形といえる。
↑ 高齢者世帯の家計収支(再録)
やや蛇足になるが、資料には「1番目に頼りにするもの」と「2番目に頼りにするもの」の組合せの結果も示されている。世代別のものは用意されておらず全体値しかいなが、それによれば「公的年金+貯蓄の取り崩し」が23.4%でトップ。「就労収益+公的年金」が2位で10.2%となっている。前者は現在高齢者の実態、後者は若年層が考える希望的生活スタイルの意味合いが強いと考えれば、あながち間違いではないだろう。
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