2割は「負担増でも大幅充実」・5割は「負担考慮しつつも充実」…少子化対策・子育て支援をどうすべき?
2011/09/26 12:00


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今調査は2009年7月16日に実施されたもので、調査方法は「調査員が配布した調査票に、調査対象となった世帯員(20歳以上の「一人ひとり」に配布。例えば子供無しの夫婦ともに20歳以上なら2枚)が自ら記入し、後日調査員が回収する」留置自計方式。集計客対数は1万0645人。
少子化問題の深刻化は「先進国病」とも呼ばれ、日本でも【日本の「恋愛結婚」「見合い結婚」の推移】や【日本の出生率と出生数】などさまざまな要因による結果として、数字となって表れている。

↑ 日本の合計特殊出産率(人)(再録)
【「夫の家事手伝い時間が長い夫婦」ほど、さらに子供をもうける確率アップ】とも関連するが、「生活水準の維持向上」「女性の社会的地位向上」と共に、保育のメインとなる女性の就労機会が増え、保育に不安を覚えるようになったのも、少子化の一因(恐らくは主要因の一つ)といえる。そこで少子化対策の一環として、子育て支援を現状以上に充実すべきであるという声が高まっている。
「子育て支援」の内容は多種多様に及び、公私支援サービスの直接・間接的充実や、そもそも論(あるいはコペルニクス的発想)として支援サービスを受けずに保護者が保育できるような環境作り・支援などか立案されている。しかしそれらのほとんどは、何らかの形で国・自治体の負担増を伴うもので、それは最終的には租税・社会保険料の負担増などにつながっていく。
そこでそれらの関係を見極めたうえで、今後の子育て支援の方針をどのようにしていくべきか、概要的な意見を求めた結果が次のグラフ。育児に関わらない人の租税・社会保険料の負担が増えても(租税・社会保険料は国民全体の負担であるが、子育てをしている人には軽減措置なりが考えられるのと共に、支援そのもので相殺以上の便益が得られる)、大規模な拡充を図るべきだという人は約2割に達している。

↑ 年齢階級別にみた少子化対策(子育て支援)のあり方
そして5割強は「過度の負担増ではなく、有る程度負担を考慮して(※役所的言い回しであり、実質的な負担増を意味する)、現状を超えた充実を図るべき」とする意見は5割強。合わせると7割強の人が「負担増でも良いので現行制度をさらに充実していくべきだ」と答えている。一方で現行制度の維持・削減はそれぞれ1割未満に過ぎない。
世代別にみると全般的には、若年層、つまり実際に子育てをしている人が多い層ほど、「負担増でも充実」への肯定意見が多い。特に30代が最も高い値を示しているところをみると、現行制度への不満の裏返しとも受け止められる。そして歳を経るに連れて充実肯定派は減少していくものの、70歳以上でも6割強・2/3ほどは「負担増でも充実」である。

現状制度のサービスの拡充、例えば公的幼稚園の増設とサービスの充実(「預かり保育」の増加など)はもちろんだが、少子化対策として子育て支援の拡充は、単なる金銭の受け渡しでは決して無く、【理想と予定、子供の数の推移…(下)理想数まで子供を持たない理由】や【覚え書き......フランスとドイツの家庭生活調査-フランスの出生率はなぜ高いのか-】にもあるように、総合的なシステムを創り上げた、あるいは補強した上での手厚い保護、言い換えれば「社会全体で見守る仕組み」が求められる。成功事例も無いわけではないので、(社会文化的な違いを考慮した上で)活用できるものは積極的に流用し、「充実を」の声に応えるべきといえよう。
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