仕事ありの母親は約6割・9年前比で7.7%増-末子の年齢別「仕事ありの母親の割合」(2010年分反映版)
2011/09/26 06:49
厚生労働省は2011年7月12日、平成22年度版の「国民生活基礎調査の概況」を発表した。国民生活の基本事項を調査し、各行政の企画や運用に必要な資料を収集する目的で行われているものだが、資料性の高いデータが豊富に盛り込まれており、注目に値する。今回はその中から「末子の年齢階級別に見た、仕事を持つ母親の割合」についてグラフ化してみることにした(【発表ページ】)。
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今調査は2010年6月3日・7月15日にそれぞれ「世帯票・健康票・介護票」「所得票・貯蓄票」を配ることで行われたもので、本人記述・後日回収で集計されている(一部は密封回収)。回収出来たデータは世帯票が世帯票・健康票が22万8864世帯分、所得票・貯蓄票が2万6115世帯分、介護票が5912人分。なお1995年分は阪神・淡路大震災の影響で兵庫県の分はデータが取得されていない。
一般世帯においては世帯主(年齢や所得にかかわらず、世帯の中心となって物事をとりはかる者として世帯側から申告された者)は夫、妻は配偶者となる。昨今では(夫婦双方が存在する世帯でも)逆のパターンもありうるが、比率的には「あまり」深く考慮しなくてよい。
世帯主だけの収入では不安な世帯においては、子供がいる場合でも妻がパートなどで家計を支える必要が生じる。いわゆる「共働き」という状態になるわけだが、それを類推できるのが今回の「末子の年齢階級別に見た、仕事を持つ母親の割合」。このデータは児童(18歳未満の未婚の者)たる子供がいる世帯において、母親が仕事をしているか否かの比率を示したもの。例えば2010年の総数は約6割なので、「末子が児童の世帯のうち、6割は母親が働いている」ということになる。
↑ 末子の年齢階級別にみた仕事ありの母の割合(「母の仕事の有り無し不詳」は含まず)(児童あり世帯比)
ほぼ10年前の2001年と比較すると、末子の年齢で多少の違いはあるものの、大体8ポイント内外の増加が見られる。理由は多種多様のものが推測できるが、支出の増加と収入の減少、さらには生活意識の向上によるところが大きい。また、核家族率が増加する(三世帯家族が減る)ことで、子供を持つ夫婦の生活が厳しさを増しているのも一因と思われる。そして、女性の社会進出に対する意識の変化が進んだのも要因として考えられよう。
子供の年齢が上がると共に母親の有職率も増加していく。末子が高校生にもなると実に(児童を持つ世帯のうち)3/4の母親が仕事を得て働いている計算になる。一方で0歳児でも3割近い母親が働きに出ているが、これは別途詳しく解説するように、父親、保育所や保育施設、そして祖父母が育児をサポート・手伝っていることになる
今年分はまだe-Stat側のデータが更新されていないので記事更新は後ほどになるが、2009年における共働きの状況【雇用不況で共働きにも変化が? …共働き世帯の増え方(2009年分反映版)】では一時共働き世帯数は減少の動きを見せていた(2008年の1011万世帯から995万世帯へ)が、最新の2010年では再び増加し、過去最高の1012万世帯に達したと伝えられている。児童の有り無しに関わらず、母親も働く「共働き世帯」は今後も増加を継続していくのだろう。
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