人との絆の深まり、助け合い・自立心の向上…震災を経て変化した人の想い

2011/09/21 19:30

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助け合い2011年9月5日にNHK放送文化研究所では公式サイト上で、東日本大地震・震災から半年経過した時点での被災地域(岩手県・宮城県・福島県に限定)、そしてそれ以外の地域の住民における心境調査結果を発表した。これはほぼ同じ設問を双方の地域に実施しており、被災地域内外における心境の違いを数字的に比較できる、貴重なデータが盛り込まれた資料となっている。今回はその公開データの中から「震災の後に生じた、人間関係についての考え方」を見て行くことにする(【発表リリース、PDF】)。



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今調査は2011年9月2日から4日にかけて、RDD追跡法による電話法を用いて20歳以上の男女に対して行われている。有効回答数は被災地域1226人、そしてそれ以外の地域1175人。

以前【ニュースチェック、防災用品整備、家族との打ち合わせ…震災後に変化した防災意識】【女性が高め、高齢者は長め…本震後の自粛意識傾向】、そして最近の調査結果では【「ハリネズミ症候群」...震災後の心理動向の変化と消費トレンドの関係レポート】にもあるように、今般震災のような大規模災害後にはありがちな傾向として、人の生存本能・防衛反応的な作用が大きく働き、慎重・受動的・防御優先の反応を示す傾向が多々見受けられるのが確認されている。過度な反応が【ストレスとトラウマと過敏反応と】でも指摘した、暴走とも判断される反応すら示してしまう事すらある。

今件調査では大きく2つの事項「人とのつながりやきずな」「助け合いと自立」について、震災後に心理的な変化があったか否かを尋ねている。その結果が次のグラフ。

↑ 震災前と比べて、人との「つながり」や「きずな」についての考え方に変化があったか
↑ 震災前と比べて、人との「つながり」や「きずな」についての考え方に変化があったか

↑ 震災前と比べて「人と助け合う事」「個人が自立する事」の重きの価値観に変化はあったか
↑ 震災前と比べて「人と助け合う事」「個人が自立する事」の重きの価値観に変化はあったか

まず「他人とのつながりやきずな」については多くの人が「大切だと思うようになった」と回答している。特に被災地では7割以上が大切さを認識しており、現在に至るまで実際にさまざまな形で周囲の人達などと、「つながり」「きずな」を実感する出来事に遭遇したものと推測される。

助け合い次いで「助け合いと自立」についてだが、震災後は「助け合い」をより重視する動きが確認できる。そしてこちらもまた、被災地の方が大きな値を示している。興味深いのは「自立の方が重要」という項目でも、被災地の方が値が大きく、いずれに振れるかは別として、被災した人達の方が心理の変化が大きいことを示す結果となっている。

社会生活において「人とのつながりやきずな」が重要なのはいうまでもないが、「助け合いと自立のいずれが大事か」については、価値観や状況によってまちまちなため、どちらが正しいというは無い。いずれにせよ、今般震災が多くの人、特に直接被災した人達に、モノの考え方においても、大きな影響を与えたことは間違い無い。そのことが今結果からも見て取れよう。



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