被災地に必要なものは産業と資金

2011/09/15 12:00

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復興NHK放送文化研究所は2011年9月5日、東日本大地震・震災から半年経過した時点における被災地域(岩手県・宮城県・福島県に限定)・それ以外の地域の心境調査結果を発表した。ほぼ同じ設問を両地域に対して行っており、被災地域内外における心境の違いを推し量れる、貴重なデータが盛り込まれた結果となっている。今回はその中から、被災地域で被災者自身が、そして地域復興のため行政に求められていることの2点にスポットライトを当て、結果を見て行くことにした(【発表リリース、PDF】)。



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今調査は2011年9月2日から4日にかけてRDD追跡法による電話法によって20歳以上の男女に対して行われたもので、有効回答数は被災地域1226人・それ以外の地域1175人。

被災地域には早急な復興策が求められているが、それは日本全体を巻き込んだ戦略に基づく多種多様な手法に及ぶもので、しかも正しい優先順位によるもので無ければならない。しかし残念ながら本震から半年が経過した今なお、さまざまな面で遅々とした、あるいは足踏み状態と評価せざるを得ない状況にある。そのように現状を鑑みた上で、被災した人達にとって今一番必要としているもの、必要だと考えられるものは何かを聞いたのが次のグラフ。

↑ 被災した人が最も必要としているものは
↑ 被災した人が最も必要としているものは

もっとも必要とされるのは、即効性のある「生活再建のための資金」。お金は人間における血液のようなもので、それがあれば人もモノも情報も動くようになる。ところが震災がそれらをまとめて奪い去ってしまったため、身動きが取れないのが現状。まずは「輸血」が必要という認識は被災地内外で変わりない。

そして(人間の治療同様に、いつまでも輸血に頼るわけにはいかないので)その血液を被災地内部で創り出すには「仕事」が必要。仕事を創り価値を生み出し対価を得れば、それが被災地内で巡り出し、息を吹き返すようになる。まずは「輸血」、そして「血液創生の機構回復」という、人体の手当と何ら変わりないものが求められている。

その流れに関連してか、被災地の復興のために行政に求められていることも「被災者への生活支援」「産業復興の支援」が上位についている。

↑ 被災地の復興を進める上で、今行政に最も求められていることは
↑ 被災地の復興を進める上で、今行政に最も求められていることは

被災地の意見では「被災者一人ひとりの生活支援」の意見がやや大きい。これは現状において、インフラや公共施設への復旧に注目が向けられ(とはいえこれらが全面的にスピーディーに回復しているとは言い切れないが)、個人個人への支援が後回しになっている感が否めないことからの結果といえる。上の血液の話なら、被災地内部で「血液」を創生し経済を回していくため、血液=お金を「創る場所」と「創る人」双方の支えが急務といえる。



今件の2項目で見てとれるのは、被災地内の経済循環が低いレベルで留まってしまっていること。繰り返しになるが、地域の復興はお金と人と仕事を回していくことであり、そのためにはまず震災で失われた血液を輸血し、その上で自前で回せるような力をつけさせることにある。逆に輸血をしにくくさせたり、血液創生のための細胞回復を遅延させるような施策は、絶対に避けねばならないのはいうまでも無い。



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