スマートフォン時代の「夕ご飯出来たわよ」
2011/09/14 06:35
日本でも【レシピなサイトが株式上場! クックパッドがマザーズに7月17日上場へ】にある通り、レシピサイトを運用する会社が上場を果たすほど、パソコンとレシピ・料理の相性は良い。最近ではスマートフォンの普及率が高まり、手元に置いて手順を見ながら料理をすることが出来るようになったため、ますます重宝されている。レシピ専用のスマートフォン用アプリも珍しくなくなった。今回紹介するのは、そのレシピにセンスある「オマケ機能」をつけて、競合他アプリに優位性を持たせた、ちょっと変わったスマートフォン用レシピアプリである(【ADS of the world】)。
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↑ Lawry's Digital Dinner Bell。
これは日本にも多数の店舗が展開されている、レストランや食材の販売店・ロウリーズ(Lawry's)がアンドロイド端末用として提供しているアプリ【Lawry's Digital Dinner Bell】。同社が提供している料理レシピと連動する、「食事が出来たよ」を伝えるセンスある連絡ツールである。
使い方は次の通り。まずはアプリ利用者が使いたい「お知らせ用ベル」を選ぶ。食事を知らせるハンドベルを模したものだが、アジア風、イタリア風、アイスランド風など多種多様なものが用意されている。
↑ ベルを選択。どのような音を発するかもサンプルで流れる
ベルを選んだら、送る相手と送り方を登録していく。送る方は多種多様。SMS、通常の電子メール、音声電話、そしてFacebook上のアカウントへのウォール向け発信などが選択できる。
↑ 送信先と送信方法を選択
これで事前準備は終了。あとはレシピサイトを参考に夕食(朝食でも昼食でも良いのだが、レシピはその多くが夕食向けの、それなりに豪華なものが取り揃えてある)を創る。完成したら「夕食が出来たわよ-」とばかりに、ハンドベルならぬスマートフォンを揺らして鳴らす。
↑ 料理が完成。さあ、家族を呼ぶためにスマートフォンなハンドベルを鳴らして皆を集めよう
食事が出来たことを知らせる「ハンドベル」を鳴らすと、事前設定に従い、家族に向けてメールや音声電話、Facebookのアカウント上のウォールへ「夕食が出来たから食卓に来てね」のお知らせが届く。
↑ SMSやFacebook上に「夕食出来たわよ」のお知らせが届く
すると直接声をかけてもゲームやチャットに夢中になっていたり、声が届かないような場所(自分の部屋など)にいる家族も、自分の端末に届いた「夕食出来たわよ」のお知らせに気がつき、食卓に付き、お母さんもニッコリという次第。
↑ 呼んでもなかなか来なかった子供達も、デジタルで呼び出されてご馳走に上機嫌
このようなツールが発想され、実際にアプリとして登場し、それなりに評価を受けている以上、「自宅内に居てもデジタル機器に夢中になってしまい、親の話になかなか耳を傾けない子供が少なからずいる」という事実があることが想像される。家族間のコミュニケーションの疎遠さが心配だ(……とまではオーバーだろうか)。あるいは子供ですらも自宅内で、日常茶飯事的にデジタルツールを持ち歩いているだけなのかもしれない。
一方で単純に「スマートフォンをハンドベルのように振って、家族に食事を知らせるなんて、未来の日常生活みたいで格好良い」という評価も十分考えられる。これが普通のアプリのように「ボタンを押すと家族に連絡が行き渡る」だけなら、何の変哲もないお知らせアプリに過ぎない。スマートフォンをハンドベルに模して、音も再現し、さらにハンドベルのようにスマートフォン本体を振ることで初めて家族に「夕食出来たわよ」のお知らせを送るという、「疑似体験」がこのアプリを「他とはひと味違う」高みに押し上げている。味気ないデジタルツールに、リアリティという名の生命を吹き込んだわけだ。
このアプリ、仕掛けとしてはさほど難しくは無い。既存の技術の組み合わせで容易に創ることができるだろう。正直、どこまで実用性があるのかも未知数といえる。しかしそのセンスの良さと、ライバル(この場合は他のレシピアプリ)との差別化への工夫の切り口には、惜しみない賞賛を与えるに値するといえよう。
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