ソーシャルメディアで使われる名前と本名との関係(2011年版情報通信白書より)

2011/09/12 07:20

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名前総務省は2011年8月9日、2011年版の【情報通信白書】を公開した。構成要素の多くは以前【携帯電話とパソコンの所属世帯年収別利用率(2010年分データ反映版)】でも紹介した「通信利用動向調査」の結果を元にしている一方、他にも色々な資料を元にした注目すべきデータを収録し、資料性の高いものとなっている。今回はその中から、主要ソーシャルメディア(今件ではmixiやFacebookなどのSNS以外に、ツイッターなどのミニブログ、ブログや掲示板なども含む)利用者における、「自分自身を表す名前・ハンドルネーム」と「本名」の関係について見て行くことにする(【該当ページ:第3章 「共生型ネット社会」の実現がもたらす可能性(4)ソーシャルメディアの課題】)。



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今件項目は一次的には携帯電話(スマートフォン含む)・PHSを所有する人に対してインターネット経由で2011年3月に行われた調査結果を元にしている。調査対象は被災地域(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県)をのぞく全国で、有効回答数は3171人。男女比はほぼ1対1、年齢階層比は10代-50代でほぼ均等、60歳以上区分は他世代区分の約4割増の人数。

【複数利用者は1/4…ソーシャルメディアの利用動向】にもある通り、調査母体のうちソーシャルメディアを現在利用中の人は約4割、利用経験はあるが現在使っていない人は1割、経験無しの人は5割近くに達している。

↑ ソーシャルメディアの現在の利用数、利用経験
↑ ソーシャルメディアの現在の利用数、利用経験(再録)

このソーシャルメディア利用者に対し、個々の利用ソーシャルメディア毎に、用いている名前・ハンドルネームと本名の関係について尋ねた結果が次のグラフ。なお「現実世界の自分と結びついているハンドルネーム」とは、該当するソーシャルメディア内の親しい間柄の人においては、現実世界の本名とハンドルネームが結びついている場合のことを意味する。一人が複数のハンドルネームを複数個所で利用し、それら同士が結びついていても、本名との結びつきが無い以上は、「現実世界の自分と結びついているハンドルネーム」には該当しない。

↑ ソーシャルメディアでの実名・ハンドルネーム利用率(ソーシャルメディアの種類別)
↑ ソーシャルメディアでの実名・ハンドルネーム利用率(ソーシャルメディアの種類別)

全般的には「本名」は1割程度、あとは「本名と無関係ハンドル」「本名と関係有りハンドル」が半数位ずつ。SNSでは【知り合いとのやりとりはSNS、悩み相談はブログ、情報探索はツイッター…主要ソーシャルメディアの利用目的傾向(2011年版情報通信白書より)】にもあるように現実での知り合いとのやり取りを行う傾向が強く、そのため実名利用率が約2倍となっている。

あとはブログ、ツイッターがやや匿名性が高い以外は大きな違いはないのだが、「ネット上の掲示板」に限り、「本名と無関係ハンドル」が7割近くと、匿名性が高い結果が出ている。日本特有の掲示板文化「登録せずに誰でも利用できる」「名乗らなくても良い匿名掲示板が多い」が、本名や「本名と関係有りハンドル」の利用を妨げているものと思われる。

これを性別・世代別で見ると、また違った傾向が確認できる。

↑ ソーシャルメディアでの実名・ハンドルネーム利用率(属性別)
↑ ソーシャルメディアでの実名・ハンドルネーム利用率(属性別)

男女差はほとんど無し。やや女性の方が実名率が低い程度。一方世代別では、シニア層・若年層の本名・本名と関係有りハンドルの利用率が高い。これは以前【世代別・ソーシャルメディア利用時の個人情報の開示範囲(2011年版情報通信白書より)】でも示した通り、世代別に情報公開傾向を見た場合、中年層の閉鎖性が強いことを裏付けるものでもある。中年層では実に約半数が「実名とは無関係のハンドルネーム」を利用していることになる。

名前と個性ハンドルネームは利用期間を重ねて行くうちに、実名と同じほどの重きを持つようになる。アメリカの事例だが【デジタル世代 10年後も継続?】でも解説している通り、デジタル社会における蓄積もまた、重要な経験・結果となり、容易に切り捨てるのが惜しい存在になるからだ(長年プレーしたオンラインゲームのデータは、出来れば同じ会社の類似他サービスにも活かしたくなる心境と似ている)。

実名・ハンドル、どれを使おうと個人の考え方次第だが、一度決めた名前は末永く使い、価値を高めて欲しいものである。



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