子供の携帯フィルタリング未利用、高学年ほど「子供を信用」「つけないでと懇願される」

2011/09/15 06:11

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分ける警察庁は2011年8月25日、「児童が使用する携帯電話に関わる利用環境実態調査」の結果報告書を公開した。その報告書では子供と携帯電話の関係について、多種多様で有意義なデータが記載されている。今回はその中から子供の携帯電話に対し、いわゆる「フィルタリング」をしていない状況における、未利用の理由についてグラフ化を行うことにした(【発表リリース、PDF】)。



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今調査は2011年2月から5月にかけて、全国(震災の影響により宮城県は未実施)の18歳以上の小学生(現在4-6年生)・中学生・高校生の子供がいる保護者に対し、学校経由で保護者向け調査票を配布・回収したもの。有効回答数は6万6308人。なお回答票上に特に明記はないが、子供に関する項目は一人分しかないことから、複数の子供がいる保護者の場合は一番年上の子供に関して回答しているものと見なす。

【小学2割・中学4割・高校9割…小学生から高校生の携帯電話の保有状態】でも説明したが、現時点における携帯電話の保有率(=利用率)は5割近く(保護者が回答しているので項目は「-保護者」とあるが、実際にはそれぞれの子供に関する回答であることに注意されたい)。

↑ 携帯電話の所有状態
↑ 携帯電話の所有状態(再録)

そしてその携帯電話保有者においては、過半数がフィルタリングを利用し、約3割が利用していない(利用経験が無い)と回答している。

↑ フィルタリングの利用の是非(専用・家族共用携帯保有回答者)
↑ フィルタリングの利用の是非(専用・家族共用携帯保有回答者(再録)

この「未利用」者に、なぜ利用していないのかを聞いたところ、「子供を信用して」が最大理由で、次いで「必要性を感じない」が続くという結果となった。

↑ フィルタリング未利用の理由(複数回答)
↑ フィルタリング未利用の理由(複数回答)(再録)

ところが学校種別にこの「未利用の理由」を見ると、興味深い傾向が確認できる。次のグラフがその具体的な図だが、小学生の子供の場合は、保護者の信用でフィルタリングを利用しなかったという回答は3割でしかない。これが高校生になると5割を超す値となる。

↑ フィルタリング未利用の理由(複数回答)(学校種別)
↑ フィルタリング未利用の理由(複数回答)(学校種別)

「年相応の判断ができるはずだから、フィルタリングで不便な思いをさせる必要もないだろう」ということなので、小学よりも中学、中学よりも高校の方が上なのは当然の話。第五位の「子供にとって不便と感じた」も保護者側の考えとしてはこれに近い。要は「不便さ」と「信用」を秤にかけたという次第。また「不便」なのは子供自身も実感しているようで、上の学校種ほど「つけないでと頼まれた」の回答率も増加していく。

「信用する」率の高まりと
「必要性を感じない」の減少。
保護者の子供への
相反する気持ちの表れか
一方、子供の歳が上になるほど、(上の「信用できる」と相反する気持ちでは有るが)保護者の心配も増すようだ。わずかではあるが上の学校種ほど「必要性を感じない」回答率が減る動きが見られる。「サービスを知らない」回答率の減少と合わせて考えると、行動力も行動範囲も広がりを見せる、成長を続ける我が子に対し、ハイリスクなコンテンツへの窓口となりうる携帯を持たせることへの不安の表れともいえる。

子供の信用性の高まりや、子供からの要望の強さの方がはるかに大きいため、実際にはフィルタリングの未利用者率は上の学校種ほど高くなる。その分保護者の心情におげるジレンマも積み重なっていくであろうことを考えると、その気苦労を乗り越えていかねばならない大変さには、頭を下げずにはいられない。


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