自分の頭にも痛みを覚えそうな頭痛薬の広告

2011/09/08 12:10

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頭痛の苦悩外傷は見た目で他人からも様子が分かるので、その痛みを理解してもらいやすい。しかし見た目には分からない病気や症状の場合、外見に変化がない場合がほとんどなので、第三者からは痛みを分かってもらえないことが少なくない。「頭痛」もその一つで、実際に痛みを覚えてその苦痛をアピールする仕草をしても、ありきたり過ぎて今一つリアリティに欠けてしまう。今回紹介するのは、第三者・客観的な立場からの眺めにも関わらず、自分自身の頭痛のような痛みを覚えせさる、ダイレクトで分かりやすい手法を用いた頭痛薬の屋外看板広告である(I Believe in Advertising)。



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↑ Panadol Extra Live Pecked。
↑ Panadol Extra Live Pecked。

これはインドネシアで展開された、非ピリン抗炎症剤・鎮痛解熱剤で風邪周りの症状をはじめ頭痛薬として用いられることが多い「パナドール(Panadol)」の屋外看板。このパナドールという薬、海外ではメジャーな薬だが、日本国内では販売されていない。その「パナドール」が活躍する場面、具体的には「ひどい頭痛」の状態を披露し、見ている人にも頭痛を疑似体験してもらい、改めて「パナドール」を思い起こしてもらおう・知らない人には知ってもらおうというのが、今広告の展開意図。

冒頭でも触れたように、頭痛は見えない痛みなので、第三者からはぱっと見で分かりにくい。単に苦痛で顔をゆがめたり、頭を押さえた表情を見せるのは当たり前過ぎる。そこで「頭痛はこのくらいの痛み。しかも一度生じるとなかなか治りませんよネ」という痛さを伝え、「パナドール」の必要性をアピールできないか、しかも他の「分かりやすい痛み」に例えて……ということで、この看板が創られた。

まずは男性が頭痛のあまり、眉間部分を抑えている大きな看板を用意する。これだけなら普通の、どこにでもある看板。しかしこの看板が他のものと違うのは、男性の頭の部分に「鳥のえさ」をばら撒いた点にある。当然そのえさを見つけた鳥たちが集まり、えさをつつくようになる。

↑ 男性の頭部分にあるえさをつつく鳥たち
↑ 男性の頭部分にあるえさをつつく鳥たち

鳥たちは単にえさをついばんでいるに過ぎないのだが、周囲からは「男性の頭を鳥たちがチクチクとつついている」ように見える。そして男性は頭痛で苦悩する表情とポーズをとっているものだから「頭を鳥に絶え間なくつつかれて痛い痛い痛い(以下略)」という状況が再現されることになる。

ぎっしりと集まった鳥たちがしきりについばむ様子は、当然周囲からは目立つものとなる。何事かと思って注視すると、そこには頭痛に悩める男性の姿。「そりゃ、痛いだろう」と納得すると共に、「そういえば自分も頭痛の時には、じわじわとつつかれるような痛みを長時間覚えるよなあ」と、自分の頭痛体験がよみがえるわけだ(あるいは単純に、目の前で展開される「鳥につつかれる痛さ」を自分の痛みのように感じるかもしれない)。


↑ 「あれ、確かに痛いよね」と指差したり、写真を撮ったり、思わずじっと眺めてしまう通行人たち
↑ 「あれは確かに痛いよね」と指差したり、写真を撮ったり、思わずじっと眺めてしまう通行人たち

そして男性の下に設置されているプレートには「耐えられない、我慢できない頭痛ですか? (そのような時には)パナドールをどうぞ(お使い下さい。パナドールならあなたの頭痛を解消し、笑顔が取り戻せますよ)」とある。

看板を観る人達に「耐えられない痛み」を疑似体験させ、その上で「その状態を改善させる」パナドールの存在を訴えかける。これにより「鳥が頭をつつくくらいの超ド級の頭痛でも、パナドールならきっと何とかしてくれる」という、「頭痛」と「パナドール」との解消法的リンクが、見ている人の頭に浸透していくわけだ。

シュールなビジュアル看板の頭上の「えさがまかれている部分」の説明が一切なく、動画にも詳しい部分は映っていないため、仕組みはいまいち不明なところが多い。単に溝があるだけで、逐次係の人がはしごなどで登ってえさを追加しているのか、それともシンプルなタイマーと連動するえさやり装置が配されているのかもしれない。また、これだけ鳥が集まると、周囲に羽毛や「落し物」などの影響も考えられるため、日本で似たようなものを行うにしても、工夫が必要になる。

とはいえ、「じわじわくる頭痛」をこれだけダイレクトに、子供なら看板を前に頭を抱えて「いたいいたいいたい」と真似をしながら走りまわりそうなほどストレートな痛みを、不快感を覚えさせることなく疑似的に体感させるこの切り口。シンプルだが、非常に面白いものと評価できよう。



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