世代別・ソーシャルメディア利用時の個人情報の開示範囲(2011年版情報通信白書より)
2011/09/11 06:57
総務省は2011年8月9日、2011年版の【情報通信白書】を公開した。構成要素の多くは以前【携帯電話とパソコンの所属世帯年収別利用率(2010年分データ反映版)】でも紹介した「通信利用動向調査」の結果を元にしているが、他にも色々な資料を元にした注目すべきデータを収録し、資料性の高いものとなっている。今回はその中から、主要ソーシャルメディア(今件ではmixiやFacebookなどのSNS以外に、ツイッターなどのミニブログ、ブログや掲示板なども含む)利用者における個人情報の開示範囲を、世代別に区分した場合の動きについて見て行くことにする(【該当ページ:第3章 「共生型ネット社会」の実現がもたらす可能性(4)ソーシャルメディアの課題】)。
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今件項目は一次的には携帯電話(スマートフォン含む)・PHSを所有する人に対してインターネット経由で2011年3月に行われた調査結果を元にしている。調査対象は被災地域(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県)をのぞく全国で、有効回答数は3171人。男女比はほぼ1対1、年齢階層比は10代-50代でほぼ均等、60歳以上区分は他世代区分の約4割増の人数。
【複数利用者は1/4…ソーシャルメディアの利用動向】にもある通り、調査母体のうちソーシャルメディアを現在利用中の人は約4割、利用経験はあるが現在使っていない人は1割、経験無しの人は5割近くに達している。
↑ ソーシャルメディアの現在の利用数、利用経験(再録)
この「ソーシャルメディア利用者」に対し、インターネット全体に開示することを前提として、個人情報をどこまで開示するのかについて尋ねた結果を「世代別に区分した」のが次のグラフ。なお今件における世代区分は、「若年層」は10代-30代、「中年層」は40代・50代、「高齢層」は60代以上の人としてある。
↑ ソーシャルメディア利用時の自身の情報の開示範囲(複数回答)(世代別)
全般的には若年層の方が情報開示率が高い。これは若年層の方がデジタルメディア・ツールに触れている時間(絶対時間・人生全体に占める比率)が長く、色々な意味で「慣れて」しまっているのが要因と思われる。特に個人を特定されにくい情報(グラフなら右半分の項目)では、若年層の公開率の高さが目立つ。
一方で「個人が特定されやすい情報」になると、「電話番号」「住所」「家族構成」などは若年層の方が低く、「勤務先・通っている学校」「実名」「学歴」では高めの傾向が見える。これは多分に「就学中の」若年層が、自分の生活範囲内(学校やその周囲)における「仲間」を探そうとするあまり、公開してしまっていると考えられる。
また、高齢層は「電話番号」「住所」「自分の写真」「実名」など、個人・居住地がすぐに特定されてしまう、個人情報でも本来は「隠匿しなければならない度合いの高い情報」の開示率が高い。情報通信白書側ではこの傾向について「高齢層が、1対1でのコミュニケーションを志向しこれらの情報をより開示しているのではないか」と推定しているが、その可能性は高いと思われる。特に「メールアドレス」の開示率がずば抜けて高い点に、「連絡を請う」意思が見て取れる。
もう一つ気になる動きとしては、全般的に中堅層においては開示率が低い事。特に「上記のいずれも開示していない」が33.8%と1/3を超えていることなど、強い意志で自らの素性を隠している様子がうかがえる。単なる「経年によるデジタル社会からの恐れ」なら、高齢層の方が開示率は低いはずなのだが、今データを見る限りその動きは無い。社会的な立場の上で、個人や所属団体が特定されてしまった場合のリスクの高さを懸念して、控えめにしていると考えれば道理は通る。
無論個人個人の事情や各ソーシャルメディアの特性により、公開すべき領域は大きく異なる。今件はあくまでも平均的な事例・結果に過ぎない。自分の所属する世代で比較し、「それならもう少しオープンにしてみようか」と考えるのは時期尚早。あくまでも自分自身の問題として判断して欲しい。
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【どこまで見せる、教えるか? ソーシャルメディア利用時の個人情報の開示範囲(2011年版情報通信白書より)】
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