日常が非日常になる驚きと喜び
2011/09/02 12:10
冒険家や俳優、クリエイティブ性の高い職業など一部の職種をのぞけば、多くの働き人は、就業時間のほとんどをルーチンワークで過ごしている。また学生や主婦も同様に、波乱万丈に富んだ日々を過ごしているのはごくまれで、大抵は日常的な決まりごとの繰り返しで時間を費やしている。しかしその「日常」が、ある日突然「非日常」の演出を受けたとしたら、どのような顔をしてそれに対面するだろうか。今回紹介するのは、「日常」をちょっとした仕掛けで「非日常」にしていく、カナダのお茶メーカーが行ったプロモーションである(【Facebookの同社ページ】、【日常の行動が突然「非日常」になる時】)。
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↑ Routine Experiment(1)
これはカナダの紅茶会社【Tetley】が新商品「Infusions」を展開するにあたって行ったプロモーション。「Tetley Infusions」のコンセプトは「単純に繰り返すだけの平凡な日常を吹き飛ばすほどの、リフレッシュを堪能できる刺激的な美味しさのお茶」。紹介ページを見ると複数の種類のお茶をミックスしたブレンドで、確かにこれなら「吹き飛ばして」くれそうな気がする。
↑ 緑茶に桃とマンゴー、黒茶にレモン……?
新商品の「日常を吹き飛ばす」コンセプトを多くの人に体験してもらい、合わせて「Tetley Infusions」を知ってもらおうとの考えで行われたのが、「日々繰り返される日常に、アクセントを提供しよう」というもの。上の動画で紹介されているのは、あるスーパーでの仕掛け。従来ショッピングカートが用意されている場所にずらりと並んでいるのは、正装をした執事たち。そしてお客が入ってくると「いらっしゃいませ」の大合唱。
↑ 「いらっしゃいませ」「なんじゃこりゃあ」と驚き、そして喜ぶお客
しかも執事たちは単にショッピングカートの代わりとして、カゴを持つだけに限らない。子供の相手をしたり、お年寄りのために荷物を車まで運んでくれたり、果ては女性へのエスコートまで。
↑ 子供の相手、重い荷物の車までの搬送、さらにはエスコートの願いにも気軽に応じる「執事たち」
もちろん中には突然の出来事にとまどったり、怪しんだり、単純にサービスを断る人もいる。そのような場合でも、執事たちは笑顔を絶やさず、次のお客へのサービス提供の機会をうかがい、待機場所で整列を続ける。
日常をちょっとした工夫で吹き飛ばし、単純な生活にアクセントを与えることの快適さ、面白さ、喜びを直に体感することで、「Tetley Infusions」の有意義さも知ってもらおうというこのプロモーション、FacebookのコメントやYouTubeの公式動画の上ではおおよそ好意的に受け止められている。ただし、執事が全員男性だったこともあり、動画内での反応からも分かるように、男性からの印象・反応は女性ほど良くなかったようだ。
これを受けてだろう、Tetleyでは第二弾として、女性による給仕……ではなく、別の状況での「日常を吹き飛ばす」プロモーションを展開している。
↑ Routine Experiment(2)。
通勤ルートとしても、早朝マラソンのルートとしても使われる、ある公園。その公園を行き来する、日常生活の一環としてルーチンワーク的にジョギングをしている人や通勤客に向けて、突然大声援や応援で出迎えるという仕掛け。単に声援を送るだけでなく、ドリンク(もちろん「Tetley Infusions」)を提供したり、腕立て伏せを誘ったり、ゴールのようなロープを用意して出迎えたりと、パターンは多種多様。走っている人から見れば、道端で新聞を読んでいたり子供をあやしている人が、突然自分を歓待してくれるのだから、初めは驚くものの、すぐにその趣旨に気がついてノリノリモードに。
正直、「Tetley Infusions」そのものの素晴らしさが伝わるかまでは微妙なところ。だが少なくとも「繰り返される日常のルーチンワーク」を吹き飛ばすことの刺激、面白さ、高揚感は多くの人が認識したに違いない。
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