スマートフォンでもシニアは写真やメールなどで十分…米スマートフォン利用者のライフスタイル
2011/08/24 06:43
アメリカの調査機関【Pew Reserch Center】は2011年8月15日、アメリカにおける一般携帯電話とスマートフォンの利用性向に関する調査結果を発表した。そこでは先に【シニア層はSMSと写真撮影がお好き・米モバイル端末の利用実態】で触れたように、モバイル端末(スマートフォン、それ以外の一般携帯電話の双方)の利用者における、機能の使い方・利用性向についての集計結果が公開されている。今回はそのデータのうち、スマートフォンに限定し、さらに世代別に区分したものをグラフ化してみることにする。高機能で多種多様な使われ方をするスマートフォンで、世代間の利用性向に違いがあるのか、あるとすればどの程度の差異なのか、興味深い話ではある(【発表リリース】)。
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今調査は2011年4月26日から5月22日にかけて、18歳以上の人に対して電話(固定電話と携帯電話)でRDD形式(Random Digit Dialing、乱数で創り出した番号に電話をかける方法)によって選択された対象に、英語とスペイン語で行われたもので、有効回答数は2277人。回答時に利用した電話は、固定電話は1522人、携帯電話は755人。インターネットを利用している人は1701人。携帯電話保有者は1914人(そのうちスマートフォンは688人・それ以外の一般携帯電話は1226人)、ツイッターなどのソーシャルメディア利用者は1015人。さらに性別・年齢・教育経歴・人種・使用言語などの各種区分において、アメリカの国勢調査結果に基づいた調整が行われている。
携帯電話やスマートフォンに共通する主要機能について、スマートフォン・その他一般携帯電話双方合わせた上で、世代別利用性向(利用経験の有無)を集計したのが次のグラフ。
↑ 次の機能をモバイル端末で使ったことがあるか(それぞれの世代内比率)(携帯端末保有者限定)(再録)
ほぼすべての項目で「若年層ほど高い利用率」が示されている。他のデジタル機器、インターネット系サービス同様、シニア層ほど利用率が低い・敬遠するという傾向は、モバイル端末の個々の機能においても変わらないようだ。
それではこれを「スマートフォン」に限定した場合はどうなるのだろう。65歳以上の保有者が少なかったためか、シニア層の区分は50歳以上でまとめられているが、世代別でシニア層の機能利用(利用経験の有無)性向をグラフ化したのが次の図。
↑ 次の機能をスマートフォンで使ったことがあるか(それぞれの世代内比率)(スマートフォン保有者限定)
以前の記事【シニア層はSMSと写真撮影がお好き・米モバイル端末の利用実態】でも示しているように、全般的にスマートフォン利用者の方がそれ以外の一般携帯電話利用者よりも、多種多様な機能を使いこなしている。その積極性は世代別に区分しても同じようで、世代間の格差はあるものの、どの項目でも「スマートフォン+一般携帯電話」の値より高いものとなっている。
一方で世代別に動きを見ると、若年層は14項目のうち11項目で6割超えの回答率を示しており、利用意欲の旺盛さが見て取れる。30-49歳も18-29歳と比べればやや低めだが、ごく一部の項目をのぞけばさほど大きな違いは無く、スマートフォンユーザーでは若年層だけでなく中間層も、高い利用性向を持っているのが分かる。
シニア層(ここでは50歳以上)だが、中堅層と比べれば数字は落ちるものの、それなりに高い値が確認できる。「SMSの送受信」では8割近く、「写真撮影」では8割を超え、「インターネットへのアクセス」「写真や動画を他人に送信」でも6割強という大きな値。さすがに複雑な操作を求められる「音楽視聴」や「ソーシャルメディアへのアクセス」など、グラフの中間-下層の項目では回答率は落ちるが、それでも2-3割とそれなりの値。
若年層が各項目で利用性向が高いのは半ば当然としても、シニア層での動きは注目に値する。そこで各項目で「シニア層の利用性向」が「若年層の利用性向」のどの程度まで伸びているのかを計算してみた。例えば「写真撮影」は85%とあるが、これは若年層の利用率98%に対し、その85%の値に該当する83%のシニア層(0.98×0.85=0.83)が、同じように「写真撮影」をしていることになる。言い換えれば「どれだけシニア層が、若年層の利用スタイルに競っているか」を示す値。
↑ 機能利用性向における、50歳以上層回答率の18-29歳層回答率に対する比率(スマートフォン)
やはり「シニア層はSMSと写真撮影がお好き・米モバイル端末の利用実態」で示した、「文字情報の個人間のやりとり」「写真撮影とその送信」が高めの値を示している。スマートフォンでも高齢者の利用性向は、ベースの部分で違いは無いことが見て取れる。
無論、例えば「オンラインバンクキング」のように、「スマートフォン+携帯」の統計では1割にも満たなかった利用性向が、スマートフォンに限れば24%にも達しているなど、他の機能でもシニア層は積極的に利用しているようすがうかがえる。しかし若年層に競るほどの高利用率となると、大本の「使い方のスタイル」が出てしまう、ということのようだ。
国は違うが【au、分かりやすいメニュー表示をするAndroidスマートフォン用ホームアプリ「かんたんメニュー」を無料配布】の設定後メニューで全面表示されるアイコンの並びを見ると、「電話」はともかく「カメラ」「メール」「インターネット」などが確認できる。シニア層のニーズは、国を問わず共通ということなのだろう。
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