シニア層はSMSと写真撮影がお好き・米モバイル端末の利用実態
2011/08/21 12:00
アメリカの調査機関【Pew Reserch Center】は2011年8月15日、アメリカにおける一般携帯電話とスマートフォンの利用性向に関する調査結果を発表した。そこでは先に【9割超が写真撮影、8割強がネットへのアクセスあり…より生活に密着する米スマートフォンの実態】で示したように、調査母体ではスマートフォン所有者が普通の携帯電話と比べ、はるかに多種多様な機能を使い分けていることが示されていた。それではそれら機能区分を、世代別に見た場合どのような差異があるだろうか。今回はその点にスポットライトを当てることにしよう(【発表リリース】)。
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今調査は2011年4月26日から5月22日にかけて、18歳以上の人に対して電話(固定電話と携帯電話)でRDD形式(Random Digit Dialing、乱数で創り出した番号に電話をかける方法)によって選択された対象に、英語とスペイン語で行われたもので、有効回答数は2277人。回答時に利用した電話は、固定電話は1522人、携帯電話は755人。インターネットを利用している人は1701人。携帯電話保有者は1914人(そのうちスマートフォンは688人・それ以外の一般携帯電話は1226人)、ツイッターなどのソーシャルメディア利用者は1015人。さらに性別・年齢・教育経歴・人種・使用言語などの各種区分において、アメリカの国勢調査結果に基づいた調整が行われている。
今調査母体でスマートフォン所有者と、他の一般携帯電話所有者それぞれに、例示した機能を手持ちの機種で使ったことがあるか否かを尋ねた結果が次のグラフ。
↑ 次の機能をその端末で使ったことがあるか(それぞれの端末保有者内比率)(再録)
スマートフォンの方が高性能なこともあり、色々な機能を使われているのが分かる。
それではこの区分に従い、スマートフォンとその他携帯電話をあわせた、モバイル端末全体の機能利用性向を、世代別で見るとどのような動きが見られるだろうか。それを集計したのが次のグラフ(「ツイッターの利用」は特異性があるためか除いてある)。
↑ 次の機能をモバイル端末で使ったことがあるか(それぞれの世代内比率)(携帯端末保有者限定)
ほぼすべての項目で「若年層ほど高い利用率」が示されている。他のデジタル機器、インターネット系サービス同様、シニア層ほど利用率が低い・敬遠するという傾向は、モバイル端末の個々の機能においても変わらないようだ。
一方で世代間の数字の差異、具体的には赤系統のグラフ(49歳まで)と、緑-青系統のグラフ(50歳以降)の違いを見直すと、上位層、中でも「SMSの送受信」「写真撮影」「写真や動画を他人に送信」の項目(しいて言えば「メール送受信も」)では、若年層とシニアの違いがそれほど大きくないように見える。日本での話ではあるが、【メールにカメラに大活用・60-70代もケータイバリバリ世代】や【au、分かりやすいメニュー表示をするAndroidスマートフォン用ホームアプリ「かんたんメニュー」を無料配布】などにもあるように、通話(電話)機能以外では、メールなどのテキストを使った意思疎通、そしてカメラ機能があれば満足という傾向があるようで、それを反映した動きかと思われる。
実際、シニア層(65歳以上)で利用率1割を切った項目をすべて除外すると、上位5位だけとなる。すっきりしているが、シンプルさという点ではウケのよい端末が出来上がるかもしれない。
やや余談になるが、世代別で上記14機能のうち平均でいくつの機能が使われているのかを算出したのが次のグラフ。
↑ 世代別14機能中平均利用数
若年層は8機能近く。それに対して65歳以上は1.4機能。SMSと、精々写真撮影くらいだろうか。色々な機能があることは知っているが、使う必要性を感じない、メリットを知らない、使いきれないことが分かっているので使わないなど、多種多様な可能性が考えられる。とはいえ、無理に使ってもらう必要もないのもまた事実。むしろシニア層向けの端末としては、求められている機能を確実に、分かりやすく、何度でも気軽に使えるような工夫こそが、適切な配慮といえよう。
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