5年で変わる、メールの読み書き時間…携帯とPCでのメール読書時間の世代別変化(2011年版情報通信白書より)
2011/08/22 12:00
総務省は2011年8月9日、2011年版の【情報通信白書】を公開した。その多くは以前【携帯電話とパソコンの所属世帯年収別利用率(2010年分データ反映版)】でも紹介した「通信利用動向調査」の結果を元にしているが、他にも色々な資料を元に注目すべきデータを多数収録している。今回はその中から、携帯電話とパソコン(PC)に絞った、メールの読み書き時間に費やす時間の変化を、世代別に見たデータに関してスポットライトをあてることにする(【該当ページ:第1章 ICTにより国民生活はどう変わったか(1)コミュニケーション行動の変容】)。
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「情報通信白書」では東京大学大学院情報学環編「日本人の情報行動」(5年おきに実施している定点調査)を元に、コミュニケーションツールを用いた主要ツールの利用時間の平均値を提示している。「全体シーン」、そしてその主要要素として「仕事シーン」「その他シーン」の計3項目における、一日の平均利用時間が示されているが、今回はそのうち「全体シーン」における、PC・携帯電話を使ったメールの読書き(やり取り)に関するデータを再構築する。
まずはPC。2005年では10代は極小、20代-40代でほぼ変わらず、50代以降になると漸減する動きを見せていた。10代は自前のパソコンを持つ機会も少なく、持っていても個人のメールアドレスを使える機会も他の世代と比べて少ないことなど、利用条件の面では不利な点もある。60代以上に利用時間が少ないのも当然。
↑ 全体シーンでの「メールを読む・書く(パソコン)」時間の年代別変化(分/日)
これが2010年になると「中堅層が長め、若年・高齢層が少なめ」という構図に変わりはないものの、20代以降が一様に伸び、特に40代-50代の時間の長さの伸び方が著しいのが分かる(「伸び率」という観点では60代も同様)。一連の動きは特に40代以降においてパソコン、そしてパソコンを使ってのメールのやり取りに積極的な人が増えてきたことを表している。
他方20代から30代の伸び率は控えめ、10代にいたっては減少すらしている。これは後述するが、携帯電話のメールを多用していることによるものといえる。
その携帯電話だが、パソコンとはやや違った動きを見せている。
↑ 全体シーンでの「メールを読む・書く(携帯電話)」時間の年代別変化(分/日)
パソコンメールでは40代が最長時間だったのに対し、携帯メールでは10代が最長。5年間でやや時間短縮傾向が見られるが、それでも20代の47.55分を超え、ほぼ50分(/日)という高水準値にある(メールの利用時間が減っているのは、その分ソーシャルゲームをはじめとしたゲームへの注力時間が増えたためかもしれない)。一方30代以降も5年前と比較すると大きく時間を伸ばしており、携帯電話そのものの普及や携帯電話でメールをするというアクションの浸透が見て取れるものの、まだまだ10代・20代には及ばない。
経年データで見ると、「パソコンメールは30代以降、特に40代で利用機会が増加」「携帯メールは10代以外は全般的に増加、特に20代の伸びが著しい」という状況が把握できる。パソコンや携帯電話の使われ方・普及の方向性がかいま見られて、興味深い。
一方で抽出方法を変え、2010年時点の携帯電話・パソコンのメールの読み書き時間の違いを並べたのが次のグラフ。
↑ 全体シーンでの「メールを読む・書く(携帯電話・パソコン)」時間の年代別変化(分/日)(2010年)
「メールの読み書き」という行動において、10代は特に携帯電話に傾注し、20代までは携帯電話優勢、30代以降はパソコンを多用するようになり、特に40代は重宝している動きが非常によくわかる形となっている。
見方を変えると毎日平均で10代-40代は携帯・パソコンあわせて40分強-1時間、50代以降でも10分強-20分程度はメールを読み書きしている計算になる。【「電子メール」や「検索エンジン」は今でも大活躍・利用頻度はむしろ上昇】でアメリカの話として、今でもメールの送受信は多くの人に用いられているインターネット上の機能だという話をした。今件データを見る限りでは、電子メールにおいては日本も大きな違いはないのかもしれない。
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