ツールを使ったコミュニケーションは「通話」から「メール」「サイト」へ(2011年版情報通信白書より)

2011/08/22 06:27

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携帯メール総務省は2011年8月9日に同省ウェブサイト上において、2011年版となる【情報通信白書】を公開した。内容の多分は【携帯電話とパソコンの所属世帯年収別利用率(2010年分データ反映版)】で解説した「通信利用動向調査」の結果をベースとしたものだが、他にも複数の資料を使い、気になるデータが多数盛り込まれている。今回はその中から、電話やインターネット(パソコン、携帯電話)などのツール・情報メディアを用いた、コミュニケーションの時間の推移を眺めてみることにする(【該当ページ:第1章 ICTにより国民生活はどう変わったか(1)コミュニケーション行動の変容】)。



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「情報通信白書」では東京大学大学院情報学環編「日本人の情報行動」(5年おきに実施している定点調査)を元に、コミュニケーションツールを用いた主要ツールの利用時間の平均値を提示している。「全体シーン」、そしてその主要要素として「仕事シーン」「その他シーン」の計3項目における、一日の平均利用時間が示されているが、今回はそのうち「全体シーン」についてグラフ化を行う。最新データの2010年と前回調査の2005年の値が比較できるように再構築したのが次の図である。

↑ 情報メディアの利用時間(1日あたり、分)
↑ 情報メディアの利用時間(1日あたり、分)

2005年の時点ですでに、携帯電話でのメールの読み書き時間が通話時間を超えており、時代の流れを感じさせるものはあった。その流れは確かに、そして加速する形で継続され、2010年では通話時間がほぼ横ばい(良く見ると、普及率の下がっている固定電話は減少し、浸透している携帯電話では増加している)なのに対し、メールのやり取り、サイトの閲覧時間が大幅に増えているのが分かる。情報メディアの一日当たりの総利用時間に対する比率を考えれば、「通話時間比率が下がり、インターネットメディアの利用時間が上がる」、言い換えれば「リアルタイムの音声コミュニケーションから、メールの読み書きやサイトの閲覧・書き込みへ情報メディアの利用時間が移りつつある」(資料からの引用)のが見て取れる。

2005年時点の時間が微少な項目も多いため、同列で比較するのはやや難があるが、単純に変移率を計算してグラフ化したのが次の図。

↑ 情報メディアの利用時間(2005年から2010年への変移)
↑ 情報メディアの利用時間(2005年から2010年への変移)

「サイトを見る(携帯電話)」「サイトに書き込む(携帯電話)」の時間の伸びが異様な値を示しており、この5年間に「携帯電話でサイトを見たり書込みをする」というライフスタイルが急速に浸透したことを再確認させてくれる。興味深いのは「チャット機能やメッセンジャーを使う(パソコン)」で、大幅に減少しているのが分かる。ソーシャルメディア(ツイッター含む)や動画共有サイトの普及など、セミリアルタイムで「も」情報のやり取りができるツールが普及したため、わざわざチャット機能などを立ち上げる必要性が減じたものと思われる。

もちろん今数字は全般的なもので、世代別では多種多様な動きが確認できる。「情報通信白書」では「メールの読み書き」と「サイトへの書込み」に関する、2010年時点の動向データが提示されているが、それについては機会をあらためて確認することにしよう。


■関連記事:
【減る「テレビ」「新聞」、増える「ネット」……メディアへの接触時間推移(2011年発表版)】



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