動物園のシロクマの気持ちも味わえる、クールで美味しいキャンペーン
2011/08/09 06:34
夏の風物詩の一つとしてよくニュース映像に登場するのが、動物園のシロクマたちにプレゼントされる「氷漬けフルーツ」。色々な果物を中に取り込んで凍らせた氷のかたまりを差し入れ、氷そのものの冷たさを楽しんでもらったり、中の果物で涼と食欲の双方を満喫してもらおうという、粋なプレゼントである。見ている方もほほえましさと涼しさを覚えるものだが、今回紹介するのはそのシロクマ達の気分を味わえるという、少々変わっていて、しかも皆で楽しく参加でき、美味しいごほうびまで用意されている路上キャンペーンである(【ADS of the World】)。
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↑ Dollar Drink Days - Alberta。
これはカナダのマクドナルドが企画会社Cossetteと組み、アルバータ州のシルバン(Sylvan)湖付近にあるマクドナルド店舗のそばで行ったプロモーション。あらかじめ複数に分割しておいた氷にカナダの1ドル硬貨を埋め込んでおき、サプライズイベント的に空き地に来襲。そそくさと氷を組み立て、高さ7フィート(2.13メートル)・重さ8000ポンド(3.6トン)もの巨大な氷の彫像を創り上げてしまった。
↑ さっそうと車で乗り付け、黙々と組み立てる係員
↑ あっと言う間に氷の彫像が完成
氷の彫像には合計で4000枚もの1ドル硬貨によって、マクドナルドのトレードマークである「M」が形成され、誰が見てもマクドナルドのイベントであることが分かる。そして足元の台座には「Cool off with $1 Drinks」の文字が。要は冒頭のシロクマの話ではないが、氷を砕いたり溶かして中の硬貨を手にし、近所にあるマクドナルドでドリンクを頼んで涼を楽しんでもらおうという次第。
暑いさなかに突然現れた巨大な氷の彫像に、涼しさを体感するために集まってきた人達は、メッセージの意味を理解して大はしゃぎ。石で削ったり手で摩擦熱を起こして溶かそうと試みたり、果てはペットの犬になめさせてようとする人まで現れる始末。
↑ 石で削り落したり、服でこすって溶かそうとしたり
↑ ワンちゃんもぺろぺろ
↑ 記念撮影をするカップルも
ちょっとした参加型イベントのような雰囲気となり、周囲には人だかりが。周りの人の目もあるので多数の硬貨を独り占めすることはできず、獲得に成功した人はその場を立ち去り、(恐らくは)多くの人が指示通りにマクドナルドに足を運び、ドリンクを手にすることになる。
5時間ほどで人々の努力によって氷の彫像はほぼその姿を消し、4000枚の硬貨もそれぞれの人の手の元に渡ったそうな。
↑ ほとんど原形を留めていない、彫像のなれの果て。良く見ると台座部分にいくばくかの硬貨が残っているので、動画内の言及にある「4000枚の硬貨が全部」というのはやや語弊があるかもしれない
「1ドル硬貨でドリンクをどうぞ」とのメッセージから察するに、近場のマクドナルドで提供しているドリンクも1杯1ドルなのだろう(日本の「サイズを問わず炭酸飲料が100円キャンペーン」と似たようなものだ)。単純に考えれば「お店でドリンク購入に使う保証も無いのに、現金4000ドルもばらまいて、さらに氷の彫刻代などで経費かけるくらいなら、素直にフリードリンクをその経費分(4000杯+α)配った方が、シンプルで良くないか?」という考え方もある。
しかしお客たちに単純にドリンクを配るのでは無く、心に残るサプライズを提供。具体的には「氷を削って硬貨を獲得する」という体感型のイベントを実践してもらい、そこではじめてドリンクにも使える硬貨が得られる。この経験は、多くの人達の思い出に残るに違いないし、動画中でも確認できるように、多数の人達によって撮影されてインターネット上などで口クミ情報として伝わり、波及効果を生み出していく。単なるドリンク提供だけなら、ここまでの拡散効果は望めまい。
良い意味で驚かせ、体験させ、益を確保させる。しかも一人二人ではなく多数の人が同じ経験を得て、嬉しさ・楽しさを共有させていく。効果的で皆がハッピーになれる、良いスタイルのプロモーションの一例といえよう。
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